先日質問箱で声優の守秘義務違反の話についての質問を頂いていました。
これね、SNSが普及した今ではものすごく大切なことで、できれば事務所や養成所さんでもちゃんとレッスンテーマとして扱っていただきたいなって思うほど、仕事していく上で超大事なことです。
でも普段のレッスンって発声や滑舌やアフレコのレッスンが多くて、なかなかこういったことって教えてもらえる機会がなく、
なんとなーくなぁなぁになってるから守秘義務違反とかも起こっちゃうんじゃないかなぁとも思うんですよね。
もちろん自覚がきちんとあって、自ら学ぼうとしている方は知識としてあったりもするけど、
いかんせん若いうちにデビューして、あれよあれよと人気が出てしまって、守秘義務とかのことも知らないまま…みたいなこともあるので、
今回はそういう権利とか義務とか、知っておいた方が絶対ええで!ってことを解説してみたいと思います。
コンテンツ制作に関わる人には全員に読んでほしい内容!
気合い入れて話しまっせ〜〜〜
もくじ
守秘義務ってなに?
守秘義務って言葉自体がちょっとわかりにくいかなと思うんですが、Wikipedia先生には以下のように書かれています。
守秘義務(しゅひぎむ)とは、一定の職業や職務に従事する者や従事していた者または契約の当事者に対して課せられる、職務上知った秘密を守るべきことや、個人情報を開示しないといった義務のこと。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
簡単に言うと、声優の場合は、
お仕事で知った情報とかは、許可がない限り外部で言ったり、発信したらアカンよ
ということです。
このルールを守るためには、
- 「お仕事で知った情報」っていうのがどういうものを指すのか
- それをなんで外部に漏らしたらいけないのか
ということまで知っておいた方が良いのかなと思います。
声優のお仕事周りは守秘義務だらけ
具体的に声優のお仕事で、どんなところに気をつければ良いのか、ということを書いてみたいと思います。
チェックのためにいただく台本やVTR
収録が決まると収録日の一週間前くらいに台本やVTRをいただけます。
基本的に収録日までにこの台本とVTRをチェックしておいて、VTRにはタイムコード(TCR[time code reader])と言われる「この映像の何時間何分何秒が今流れてます」っていうものが表示されているので、
自分の役がセリフを喋る時のタイムコードを確認して台本に秒数を書き写しておいたり、
喋る時のブレスの位置や読みにくい漢字の読み仮名などを書き込んでおきます。
台本に書き込んでいる内容については、詳しく別の記事で紹介してます〜〜
この台本やVTRは著作物になります。
そしてまだ世間的には公開されていない未発表のもの。
権利は制作会社にありますので、声優は仕事のチェックのためだけに使うことが許されているものであり、
人に見せたり、公開したら絶対ダメ!
デビューした頃はマネージャーさんに、
家族にも見せちゃだめだからね!!!!!!
って言われてました笑
もちろん家でチェックする場合は多少家族に見られちゃう場合もあるかもしれませんが、
扱いは慎重に。家族にも守秘義務は守ってもらわないとダメです。
マネージャーさんは冗談っぽく言ってくれてたけど、まぁできれば家族でも共有しない方が本当は良いです。
アニメとかだと1クール12話だとして、それを制作するのに2〜3億くらいお金が動いています。
情報漏洩があった場合、そのお金を背負わなきゃいけないくらいのレベル。まじで危ない。
昔、新人声優さんで公共交通機関の中でVチェック(VTRのチェック)してる人がいて
だめだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお
ってなったことがあります笑
ちなみに台本とかを入れた鞄を置き去りにするのもヤヴァイです。
絶対アカン。
手持ちのバッグだと置き去りにする可能性があるので、A4サイズが入る、
こういう四角いリュックがおすすめです。
四角いリュックだと台本が曲がらないからね!
ちなみに台本が曲がるのを防ぐのに、四角いクリアケースみたいなのを使ってる方もよく見ます。
出演のために契約書を書くことも
作品によっては、出演のために契約書を書く作品もあります。
この作品に関わる情報の一切を漏洩しない、的な契約書ですね。
場合によっては出演したことや、どのキャラクターを演じたか、ということも言ってはいけない、ということもあります。
作品のキャラクターのイメージを大切にしていて、声優個人のイメージと結びつかないように気をつけている、みたいなこともあるんですよね。
タイトルごとに契約書を書かなきゃいけない、みたいなこともあります。
普通にしっかりした契約書です。
収録時間や収録場所
レギュラーの収録の場合は毎週同じ曜日に同じ時間、同じスタジオで収録していたりもするので、収録時間や収録場所は言わない方が良いです。
最近はスタジオも名前を言ったり書いたり、インターホンを押さないと入れないところが増えたけど、昔は結構フラッと入れるところも多かったです笑
今はアイドル声優さんとかだとファンの方がついてきちゃったり出待ちされちゃったり…みたいなこともあるので、そういった事態を避けるためにも時間や場所が推定できるような発信はNG。
先日〇〇の収録でした!
みたいな事後報告が多いのは、これが理由です。
情報公開日時は常に確認すべき
情報解禁とかも結構他の作品のスケジュールとかを考えたり、拡散されやすい日時を選んだり、みたいなマーケティング的思考が隠れていたりすることもあります。
そういう段取りを一瞬で全部ぐちゃぐちゃにしてしまう可能性もあるので、
必ず、「情報公開をいつしていいのか」ということはスタッフさんに確認をとった方が良いです。
偉そうに言ってるけど、私もここら辺はたくさん失敗しながら学んできたことです…お恥ずかしや。でもなかなかこういうのって業界に入らないとわからないことだよね〜〜
今はお仕事のご依頼をいただく度に
- 実績として公開可能か
- 公開可能な場合、いつから公開して良いのか
ということを必ず先に確認するようにしています。
→フリーランス向けの依頼に実績公開不可の案件が多いのは何故なのか?
TwitterやSNSで言える範囲も限られる
TwitterやSNSもこういう色々なことを考えると、言える範囲は限られてきます。
厳密に権利のことを考えると、テレビで放送されている画面を写真でとってSNSにアップすることも本当はNGです。
放送内容の権利を自分が持っているわけじゃないので、許可なくやっちゃダメ。
そこら辺はかなりグレーゾーンだし、多少の余白みたいなのはありますけどね…!笑
自分が声を担当したキャラクターの切り抜きを集めた画像をプロフィール画像に…みたいなこともダメです。(厳密に言うと、だけどね!)
キャラクターの権利もやっぱり声優にあるわけじゃないので。
ファンアートときちんとわかるもの、許可をもらっているものならもちろんOKだよ!
そう考えるとSNSもやるのが難しくて、究極を言えば
おはよ〜〜〜!
これ食べた、んまい!!!
猫かわいい
みたいな発信しとくのが安全で良いです。
本当に、考えることは多くて難しいよね!笑
→声優志望はツイッターはやらない方がいい?意識しておくと良いこと
年々厳しくなっている印象の守秘義務遵守
最近はSNSで簡単に色々なことを発信できるようになったこともあり、
守秘義務違反が発覚して問題になることも多くなったからか、年々そういったことは厳しくなっていってる印象です。
声優業界に限らず、今は色々なところで余白のない社会というか…
なんでも糾弾されてしまう息苦しさみたいなのはあるよね…
まぁ炎上するしないみたいなことに関係なく、権利とか守秘義務とかそういうことは、やっぱりコンテンツ制作に関わるなら知っておいた方がいいとは思うんだけどさ〜〜〜
スタジオにスマホの持ち込みが禁止になったところもあって、これはびっくりしたなぁ。
声優は注目されがちな職業ではあるけど、
作品に関わる人はもっともっとたくさんいて、たくさんの方がとんでもない労力と時間を割いて作品が作られていること、その一端を担わせていただいていること、
自覚を持ってお仕事をしていかねばですね。
→声優の収録時間は超短くて、なのに一番目立つのも声優っていう責任
権利やビジネスモデルを学ぶことも大切
私もいっぱい失敗しながら、やっとこれくらいの話ができるようになった感じです。
マネージャーさんやプロデューサーさん、多くのスタッフさんに「こういう時はあんなことしちゃダメだよ」ってこっそり教えてもらいながら、
やっとこさ権利とかを考えられるようになったンゴ…
今思い出すとめちゃくちゃ恥ずかしくて
オィイイイイ!!!!!!
昔の自分んんんんんん!!!!!!
ってなることは死ぬほどあります。ひゃ〜〜〜
きっと未だに知らないことや、理解しきれていないこと、間違って覚えていることもあると思う。ここら辺の話は本当に複雑で難しい。
これからマジでプロになるぞ、真剣に真面目に実直にやってくんだぞ
っていう方は、権利関係のことはちゃんと勉強するなり、有識者に話を聞くなりして情報取りに行った方が安全に活動できるとは思う。特に今の時代ね、地雷ありまくりなので。
アニメ産業やコンテンツビジネスの話に関しては、この本がめっちゃおすすめです。
よく話題になるアニメの製作委員会方式の話とかもしてあって、
コンテンツは誰が権利を持ってるのか、どうやって収益を得ているのか、みたいなことが詳しく書いてあります。
かなり読み応えがあって、読破するのは大変かもなので、
目次の中で気になったところだけさらう、っていうのでもいいと思う。それだけでもだいぶ勉強になる話がいっぱいです。
こういうのってどこで学べるのかもいまいちわかんないよね笑
声優志望の方にはぜひそういう角度からも勉強してみてほしいな〜〜と思っております!
他にもおすすめの本まとめてるからぜひ〜〜
読んでくれてありがとうございました!
ではっ
VTRは昔はDVDでもらってたけど、最近はネット上でパスワードを入力すると見られるものが多くなりました!