舞台役者さん、舞台女優さんとしても活躍していらっしゃる声優さんはたくさんいらっしゃいます。
中にはご自身で劇団をもって座長をつとめていらっしゃる方も。
私はデビューする前は舞台という舞台は本当に商業的な大きい舞台しか観に行ったことがなく、小劇場でやる舞台には触れたことがありませんでした。
デビューして共演者の方が舞台に出演していらっしゃって、お誘いを受けて初めて小劇場で舞台を観た時、本当に震えるほど感動しました。
今までにない距離感、息遣い。
大きな劇場では当たり前のようにみんなピンマイクをつけていたけど、小劇場は生の声なんだ、と知った時の衝撃。
舞台に興味を持ち始めると収録のブースの中でも舞台役者さんとして活躍していらっしゃる方へ自然と目がいくようになりました。
そして舞台に積極的に出演されていらっしゃる声優さんたちのあるすごい共通点を発見したんです。
声量が大きすぎる
舞台で活躍されていらっしゃる声優さんの多くが声量がおかしいくらい大きいんです。
声優にはもちろん声量ってとても必要なことなので、みなさん基本的に声量は尋常じゃなく大きいです。
収録終わったあとにみんなで飲みに行くとお店に注意されることも日常茶飯事。笑
でも舞台をやられている声優さんはことさら声量がすごいです。
収録はある程度マイクが音を拾ってくれるし、シーンによっては声量がない方が伝わりやすい表現もあるでしょう。
舞台をやられている声優さんは、生の声で劇場の後ろまできちんとセリフが届くように普段から練習をされている方なので
声優さんの中でも飛び抜けて声量がある方が多いんですね。
さらに、劇場は空間が広いのでそれだけ音が拡散しやすい場所でもあります。
なので滑舌もすごくいい方が多いです。
単純に声量が大きいだけでは「音」としては届いても「言葉」としては届かないので。
大きな声でもしっかり「言葉」として届けられる方は本当にすごいんです。
また、声量があってそれをしっかりと言葉として届けられる方は「音圧」とよばれるものあります。
音圧というのは音量とは少し違って文字の通り、音の圧力です。
音量が小さい声でも音圧がしっかりしているとセリフが聞きやすいし、マイクにも乗りやすい(集音しやすい)と言われています。
音量が小さい音は聞こえにくいはずなのに、音圧がしっかりされている方の小さい声はなぜか聞こえるんですよね。
舞台上でだって大きな声だけが求められるわけではありません。
小さい声でも「後ろの席まで届く小さな声」というのを普段から意識されているんだと思います。
体力がありすぎる
声優は基本的に体が資本なので風邪を引くことができません。
風邪を引く、ということはつまりお仕事を休まなくてはいけない、ということであり、
それは「体調管理すらちゃんとできない声優」というレッテルを貼られることでもあります。
そうなんです、それくらい風邪を引いたり体調を崩したりしてお仕事をお休みすることは声優業界では御法度なんです。
風邪を引いてしまったら声が変わってしまいますからね。
アニメを観ていて「先週見てたアニメの続きを見てたら今週はなんだか声が鼻声だなぁ」なんてことはありえないでしょう。笑
なので基本的に声優さんはみなさん体力があります。
体力もあるし、一般の方と比べるとかなり気をつけていらっしゃいます。
ですが、舞台で活躍されている声優さんたちはさらに体力がすごい方がたくさんいらっしゃいます。
舞台の出演料じゃ生計を立てられないのが悩ましいという話で少し触れましたが、舞台は作るのにものすごく時間がかかります。
声優はセリフを覚える必要はありません。
現場で台本を渡されることもあるので、その場合は現場で数時間の拘束だけで仕事を終えることもたまにあります。
でも舞台はそうはいきません。
セリフを覚えなくてはいけないし、そこにさらに動きもつきます。
そして動きもパッと思いついたことをやればいいわけではなく、ちゃんとお客様に観せるための観せ方を何時間も何時間もかけて研究して作り上げていくわけです。
でも売れっ子さんほどスケジュールはとんでもない事になっています。
イベントが終わってから深夜稽古に行って、次の日は小屋入り(劇場に入ってセットを組み立てたり衣装や小道具の準備をすること)、
その次の日から本番、本番が終わったら次の日の朝からまた声優の収録のお仕事、
なんて恐ろしいスケジュールの組み方をされていらっしゃる方も実際にいらっしゃいます。
人によりますが、舞台をやる方はお酒を飲む方も多いのでその足で朝まで飲んだり、なんてことも。
超人的な体力があるんです。
声優には、体を動かす芝居も大切
舞台をやられていない声優さんでももちろん声量がすごかったり、体力がすごい方もいらっしゃいます。
ただ、特に舞台をやれれている声優さんに多く見られる傾向、ということで今日は話してみました。
私自身この業界に入るまではあまり舞台に馴染みがなかったのですが、
舞台を観に行くようになって、自分も出演するようになって、もっと楽しいと思えることが増えて行く感じがしました。
もっともっと舞台が日本の生活のエンタメの一部になったらいいのになぁと思う毎日です。
まだ劇場に足を運んだことがない、という方は是非好きな声優さんが出演されてる舞台などに一度遊びに行ってみてください。
よく「声優になるのに、身体表現は学ばなくてはいけないですか?」という質問がありますが
体の芝居ができるからこそ、声の芝居ができるようになるんだと思います。
読んでくれてありがとうございます!
ではっ