今回は声優業界で使われている専門用語について。
今の所思いつくものをとにかく羅列して解説してみようと思います。
※語りきれてないと思うのでまた思い出したら追記していきます。
もくじ
収録スケジュールに関する専門用語
まずは収録スケジュールに関する専門用語です。
香盤表といって役名とキャストの名前が一覧になっている表をもらうのですが
そこにスケジュールのことについて書かれていることがあります。
入り(いり)
入りとはスタジオに入る時間帯のことです。
アニメ収録の場合は
- 10時
- 16時
が基本的な収録開始時間です。
現場によって変わってくる場合もあります。
業界人は朝が苦手な人が多いので収録に慣れてくると朝10時からだった現場が11時入りになったりすることもよくあります笑
入りはあくまでスタートの時間なので、新人声優の場合は入りの時間より30〜40分ほど前に入っておくのがよいとされています。
早く行き過ぎるのも問題なので「適度に早く」という感じですね。
ちなみに朝10時の現場は「朝10(あさじゅう)」と略されることもあります。
飲み会の席で
「明日は?」
「朝10なんですよ〜」
みたいな会話はよく聞く会話です。
駆け付け(かけつけ)
収録前に別のお仕事が入っていたりする場合は収録の途中から参加することになります。
この場合は「駆け付け」という言葉が使われます。
収録始めに「〇〇さんは何時頃駆け付け予定です。」みたいにアナウンスされることもありますし
香盤表にも書いてあることが多いです。
駆け付けで行く側としては前に仕事が入っているからしょうがないとはいえ
すでに収録が始まっている中に遅れて参加するのはやっぱり気が引けます。
ただ仕事をたくさん抱えるようになると日常茶飯事みたいになって来るんだと思います。
1日3現場とか4現場とかが普通、という方もいるし、すごい方だと1日7現場、なんて話も聞いたことがあります。
ケツ
終わりの時間や時間的期限を「ケツ」と呼んだりします。
「ケツカッチン」という言葉は15時終了予定のものであれば15時ぴったりに終わらなくてはいけない、ということ。
後ろに予定が入っていたりする場合に使われる言葉です。
仕事やオーディションが押している(時間が予定よりもかかっている)場合に「ケツ大丈夫?」という聞かれ方をすることもあります。
早出し(はやだし)
駆け付けの反対で次の予定があるために途中で抜ける場合に使われる言葉です。
これも香盤表に「何時出し」みたいな形で書いてあることが多いです。
抜き
スケジュールが合わず、駆け付けも早出しでもダメで別の日に収録になる場合は「抜き録り」になり、「〇〇さんは抜きです」という形でアナウンスされます。
こういう場合は次の週に早めにスタジオに入って一人で収録したりすることが多いです。
レギュラーではなく一回きりしかない収録の場合は、完全に別日、という感じですね。
台本チェックに使う専門用語
アニメや吹き替えの収録の場合は収録する前に台本と映像を渡されてそれを自分で練習してから本番に望むことになります。
現場によってこの資料が渡されるタイミングはまちまちで、
余裕をもって1週間以上前に渡してくれる現場もありますが、アニメの現場では数日前、前日ということもよくあることです。
リハV・Vチェック
資料として渡される映像のことをリハーサルVTR、略して「リハV(りはぶい)」と言います。
これをチェックすることを「Vチェック」と言います。
自分のキャラクターが出て来るところ以外にも基本的にはチェックします。
当日「この配役し忘れた役の声録りたいから誰かやってもらえませんか?」と急に役をふられることもあるからです。
タイムコード
リハVにはタイムコードといって「この映像がはじまってから今何分何秒のところだよ〜」というのがわかるタイムカウンターが出ています。
多くの声優さんが自分の役が何秒から話始めるのか、というところを台本に書き込んでいます。
ト書き
台本に書いてあるセリフ以外の描写の部分のテキストをト書きと言います。
「女子部員入ってくる」
「誰々扉開けつつ」
など描写が書かれていることが多いです。
こういう描写やキャラの動きからアドリブと言ってセリフにはない声を追加したりすることもあるので
ト書きもきちんとチェックしていきます。
オン・オフ
セリフにオンとオフがあります。
これは口元が画面上に映っているかいないか、ということです。
後ろ向きだったり、画面には映っていないけれど声だけ聞こえる、というようなセリフはオフゼリフと言われます。
オンに比べると口パクを合わせる必要がないのでオフゼリフの方が余裕をもってお芝居をできるようなイメージがあります。
ブレス
息継ぎのところをブレスと言います。
吹き替えの時なんかは原音(洋画の役者さんが喋っている声)に合わせたりしますが
アニメの場合はブレス指示がない場合もあるので自分でブレスのタイミングを考えて喋ったりします。
ボールド
アニメのリハVには基本的に音がついていません。
なのでキャラクターがどこで喋っているのかというのもわからないので
ボールドというキャラの名前が書かれた吹き出しのようなものがキャラが喋っている尺の分だけ出るようになっています。
このボールドに合わせてセリフを喋ります。
収録現場で使う専門用語
実際に収録現場で使われている専門用語について解説します。
音響監督によって喋りがめちゃくちゃ速い人もいるので
専門用語がわからなくて止まってしまうとどんどん置いていかれてしまいます。
現場に入る前までに把握しておきたいことですね。
テスト・ラステス・テス本
収録は決められたシーンをまずテストします。
テストというのは一回みんなでやってみましょう〜というやつでこのテストの音源は基本的には使われません。
アニメの場合は本編途中にCMが入ると思いますがそのCMに入る前をAロールといい、CM明けの後半をBロールということがあります。
収録の流れは
- Aロールテスト
- Aロール本番
- Aロールの録りこぼし
- 休憩
- Bロールテスト
- Bロール本番
- Bロール録りこぼし
- 次回予告
みたいな流れになります。
ただキャラが定まっていなかったりうまく噛み合わない時はラステスと言ってもう1度テストをやる時があります。
そういう場合は
- テスト
- ラステス
- 本番
という流れになります。
テストを2回やるということですね。
逆に時間がない時や慣れている現場ではテストを兼ねた本番、という意味でテス本になることもあります。
こういう時は一発勝負です。
できなかったら録り直しになりますが、慣れている現場やナレーションなどの現場ではテス本は多いですね。
直し
テストが終わった後に音響監督から演出指示やセリフの変更などをまとめて伝えられる時間があります。
これが直しです。
めちゃくちゃこれを伝えるのが速い音響監督さんもいるので、そういう現場ではみんな台本にメモをとるのに必死です。
別録り・別・本線
セリフとセリフがかぶってしまっている時はあとで編集しやすくするように別々に音声を収録することがあります。
これを別録りといい、この場合は本番では喋らず、そのあとの録りこぼしを収録する時に一緒に収録します。
「〇カットのこのセリフは別で」と伝えられた時は本番では喋らないようにします。
別録りに対して本番で喋るセリフを本線と言います。
別録りを別線(べっせん)という言い方をする時もあります。
オンリー
別と似ていますがオンリーは別録りな上にさらにモニターもオフにして音声のみの収録をすることを言います。
モニターがない分役者の想像力やタイミングが任される録り方です。
ペーパー、リップ
ノイズの種類です。
ペーパーはペーパーノイズ。
台本の握りすぎや、ページをめくる時に起きてしまうノイズなので、
リテイクになったら紙の音がしないように気をつけて演技をするようにします。
リップはリップノイズ。
緊張している時に乗りやすい音で、唾液の音や唇のくちゃくちゃ音みたいなものです。
リテイクになったら水分を含んで対処する人が多いです。
専門用語がいっぱい
今回は声優の専門用語についてお話ししてみました。
専門用語って結構いっぱいありますね笑
全然書ききれていないですが、これくらい知っておけばそこまで収録で慌てることはないんじゃないかなぁとは思います。
また思いついたら追記していきます。
こういうの本当は教材としてあったらいいなぁと思うんですがあんまりレッスンとかでは専門用語については扱わないようなイメージ。
いろんな専門学校や養成所を見ているわけではないので実態は謎ですが、少なくとも私は現場に入ってから学んだことが多かったです笑
先輩に聞きまくって覚えました。
読んでくれてありがとうございました。
では。