最近の声優は歌手としてデビューする方も多いですよね。
現に私も歌手志望で声優という仕事にたどり着き、
声優としてデビューをさせていただいてから歌手活動をさせていただきました。
声優の仕事と歌手の仕事を並列してやらせていただくようになってから
その仕事の共通点や相違点がよくわかるようになりました。
今回はそんなことについて話しつつ、
どうして声優さんが歌手デビューすることが多いのか、ということを考えてみたいと思います。
声優と歌手は似たところが多い
実は声優と歌手は仕事内容は全然ちがうものの、共通点が多いんじゃないかなということをよく感じます。
私が感じる個人的な意見ですが少しまとめてみました。
声で表現する
声優も歌手も声で表現する、という点においては変わりない仕事です。
なので、歌手を目指してトレーニングしていた発声方法や滑舌トレーニングが声優という仕事を目指すことになった時もとても役にたちました。
実は歌手のトレーニングでも発声の練習や滑舌の練習というのは欠かせないものなんです。
マイクに乗りやすい声の出し方を研究したり、
子音の立ち上げ方を学ぶことによってより聞こえやすい発音を心がけたりするんですね。
私は小学生のころから歌が好きで、遊び感覚でずっとボイトレに通っていたので、
こういった練習はずっとやってきていました。
声量をあげるためのトレーニングもずっとしています。
つまり私の場合は歌手のトレーニングをしていて声優になったわけですが、
逆も当然アリなんだと思うんです。
だから最近の声優さんは歌がうまい人が多いんだと思います。
自分の声の扱い方をとてもよくわかっているから、声で演技するのも声を使って歌うのも、同じようにできるのではないかと思うんです。
最初は私も歌手になりたかったわけですが、歌を歌うことを通して声優という仕事に出会えた時は、「これも楽しい!」と素直に思うことができました。
好きなものや目指すものがあると、人生がそういった出会いの連続になるんだろうなと感じます。
言葉で表現する
声優も歌手も共通しているのはどちらも「言葉」を使って表現をする、ということです。
- この言葉のニュアンスはどう聞こえるのか
- どうやったらこの言葉にこの感情を乗せられるのか
ということを常に考えています。
声優も歌手も表現者であることに変わりはないので、
お客さんにどう捉えられるのか、ということを意識しながら自分の表現を考えています。
だからきっと似ているものがあるんじゃないかなぁと思うんです。
音で表現する
声優はセリフを喋るのだから音とは違うだろう、と思うと思いますが、
実は言葉にもちゃんとドレミファソラシド、音階があります。
これはイントネーションの話にも通ずるものがあるんですが、
世の中に発せられている音は全てドレミファソラシドの音階をつけることができるんです。
絶対音感の人だと、踏切の音も音階として聞こえる、という話もありますよね。
日本語はあまり音の高低が激しくない言語なので、言葉にも音がついている、というとわかりづらいかと思いますが、
喋った言葉をピアノで弾くこともできるんですよ。
なので、方言なまりがあったりする人なんかは特に、音階の概念があった方がなまりを直しやすいんです。
こういうのは声優と歌手でも基礎の部分が共通しているなぁと思います。
よくディレクターさんからのダメだしで「しゃべり出しの音が全部一緒」という指摘がありますが
あれも音の高低がわかる人にはすぐに直せるものなんです。
ただ音の高低がよくわからない人には言っている意味がよくわからない、となってしまうんです。
声優と歌手の違うところ
声優と歌手の表現には共通するところも多いですが、決定的に違うな、と思うところもあります。
それは、歌手、つまり歌には
- リズム
- 音階
という制限があります。
正しいリズム、正しい音階で歌うところがまず目指すところです。
そこから歌に抑揚をつけて、表現としていく感じですね。
逆に声優のお芝居にはこの縛りがありません。
基本的に舞台芝居などは役者本人の表現したい間の取り方や、表現したい音の高低が役者本人に任されているようなところがあります。
歌手を目指していて、限られたリズム、音階の中でどうやって表現するのか、ということを課題としてきた私には
声優という仕事を通して出会ったお芝居、という表現方法は衝撃的なものでした。
自由に間が取れる。
自由な抑揚で話して表現できる。
それが歌手と声優の表現方法の絶対的な違いだと思います。
どちらが良い悪いではなく、方法が全く逆なのです。
声優志望の歌手、歌手志望の声優
今回は声優と歌手の共通点、相違点について話してみましたがこう考えると声優さんが歌手デビューすることが多いのもなんだか頷けますよね。
実は声優業界には歌手から業界に入った人が結構います。
また、歌手の中でも声優さんに興味がある、という人も結構います。
やっぱり近いところに存在しているんじゃないかなぁと思うのです。
仕事を一つに絞らず、やりたいと思ったことを全部やってみれば良いと思います。
楽しいことは全部仕事にできることだと思うんです。
読んでくれてありがとうございました。
では。