華やかな部分だけ取り沙汰されやすい声優のお仕事ですが、
声優の仕事をしていて特に大変だと感じたことについて今日は話してみたいと思います。
自分は商品だという感覚
自分は商品なんだ、という感覚は声優をやっていると至るところで感じさせられます。
もちろん自分自身を大切に生きていますが、
特に事務所に所属していた頃は自分はどうやったら売れていくのか、というプロデュース対象であり、
感情よりも商品として自分を見るという客観的な姿勢を大切にしていました。
事務所に所属していると何よりも契約が先に来ますからね。
スケジュール
事務所に所属している場合はスケジュールは基本的に事務所が管理してくれています。
新人声優のうちはスケジュールのNGを出す(その日はお休みにしてくださいって言うこと)なんて恐れ多くて絶対にできないことでした。
なので自分のスケジュールがよくわかりません。
明日仕事してるかもしれないし丸一日暇かもしれないわけです。
そうすると固定シフトのバイトとかも入れなくなるし
人と遊びに行く約束もできない、旅行の計画なんて絶対に立てられない、といった感じでした。
友達と遊びに行く時は「仕事が入らなかったら行けるんだけど、もし入っちゃたらごめんね」という前置きが必ず必要で
旅行は大抵弾丸です。
そのおかげで思いついたら行動する、という癖がついたのかもしれません。
よく思いつきでディズニーランド行ったり日帰り旅行行ったりしていました。笑
肖像権
事務所に声優として所属していると自分の肖像権も事務所に帰属する場合がほとんどです。
もちろん事務所との契約内容によりますが。
なので学校の友達とかと一緒に写真を撮って、それを勝手にSNSとかに挙げられてしまうと契約違反になる可能性があるんです。
なかなかそこを理解してくれていない方は多いので一緒に写真を撮るのも少し気を遣います。
事務所によって厳しさの程度はありますが、
中には写真NGの事務所さんもあるので、なかなか一緒にお写真を撮れないという声優さんもいらっしゃいます。
写真が必要な時は必ず事務所を通さなきゃいけない、だとか。
あと困ったのは舞台に出演した時で、
本編を録画したものをDVDにして物販で販売したり、チェキを撮ってこれも物販で販売したり、
そこに「お金」が発生してしまう場合は必ず事務所を通さなくてはいけません。
業界特有のことなので、舞台畑の方で事務所に所属している声優さんやタレントさんと普段あまり交流がない方だと、
確認が前後してしまったりしてややこしいことにもなります。
もちろん個人的な感情でものを言ってしまえば「私の写真や動画がどこに出ようがあんまり気にならない」なんですけど、
事務所に所属していると事務所はあくまで私のことを「どう売ろうか」ということを最優先に考えてくれているのでそうもいかないなんですね。
綺麗に写ってる写真だけを世に出そうとしてくれる事務所さんもあるわけです。
ちなみに私が事務所に所属していた頃の写真の判断基準は「目がちゃんと開いてればOK、商用利用する時は要確認」でした。
なかなかに放任してくださってたのでありがたかったです笑
でもやっぱり自分自身が商品なんだ、という感覚は常に持っていないといけなかったです。
もし商用利用するような写真や動画が事務所を通さずに世に出てしまった場合は賠償問題になったりすることもありますからね。
契約違反なんです。
事務所との関わり方
声優は事務所に所属していても個人事業主なので、事務所とはあくまで共闘関係にあるべきだと私は思っています。
でも逆にいえばそれはただのパートナーであるわけではなくて、
ビジネスパートナーであるべき、ということです。
デビューしたのが高校生の頃だったので、7年半かけて事務所にたくさんお世話になってお勉強させていただいた部分でもあります。
社会というものに初めて触れたのが事務所に入ってからの初現場だったので、
そのころはミーハー魂がすごかったし、声優のお仕事がただただ楽しい!とキラキラしていました。
そしてマネージャーさんや事務所にはいろいろ頼ってしまいましたが、
最終的にわかったことが事務所と所属タレントはビジネスパートナーであるべき、ということです。
事務所には「娘みたい」と言って下さる温かいスタッフさんもいらっしゃって随分甘やかしていただいてしまいましたが。
でもやっぱり事務所は所属声優をたくさん抱えています。そして所属声優はたくさんいるわけです。
その一人一人と共闘関係を結んでいるわけで、私一人を売ろうとしてくれるわけではありません。
最終的にはやっぱり自分一人で戦って行かなくてはいけないようなところがあります。
あまり知られていないかもしれませんが、声優には一人につき一人マネージャーがつくわけでもありません。
複数人のマネージャーが分担して所属声優についているので1対1のマネージメントではないのです。
あまりにも忙しすぎる声優さんはまた変わってきますが、それは大変珍しいことです。
ビジネスパートナー、という大人の関係、結構難しくて大変なのです。
あくまで「仕事である」という姿勢を常に保たなくてはいけないので、感情任せにやっていては上手くいかないこと、やっぱりありました。
みんなライバル
普段仲良しの声優さんでも、同じ事務所に所属していても、同じ声優オーディションを受けることって沢山あります。
みんなが一つの枠を狙って戦わなくてはいけないんです。
そう思うと、言ってしまえば自分以外の声優さんはみんなライバルなんです。
「誰にも負けたくない」とみんな思ってオーディションに来ています。
仲良しの声優さんが受かって自分が落ちたオーディション、素直に喜べません。
でも声優業界そういう世界なのでいちいち気にしてられないんですけどね。
やっぱり悔しいし、負けたくないし、でも仲良しなのにそんなことを考えてしまう自分がちょっと嫌になったりもしました。
だからこそ、高校や大学の友達はそういうライバル関係とか何も関係なく一緒にいることができたので、とても大事だったしこれからも大事にしていこうと思っています。
声優は精神的に大変
競争社会、という風潮が特に色濃い声優業界では
「この人本当のところどう思ってるんだろうなぁ?」と思うこともたくさんあって、結構精神的に大変なところがあります。
だからこそ、本当に腹を割って話ができる業界の友達ができると幸せに感じられますが。
でもやっぱりビジネスだって人間と人間の付き合いから始めないと
人を幸せにするエンターテイメントなんて作れないよなぁと思い始めたのがフリーになったきっかけの一つでもあります。
自分で仕事を選ぶ力、自分で仕事を作る力を身に付けたいと思ったのです。
夢を叶えたいと本気で心の底から思えたら、絶対に助けになってくれる人や力があると思います。
自分を信じることが一番大切です。
→声優志望の人へ、これから業界に入るのに気をつけて欲しい事。
読んでくれてありがとうございます。
では。