質問箱にて、以下のような質問をいただきました!
実践に関しては本で学ぶ…というのはなかなか難しいです。
オーディションは受ければ受けるだけ経験値になって、全体の流れとかがつかめて余裕も出てくるので、できれば本命のオーディションの前に他のオーディションも受けておくと良いかと思います。
今回はこれから声優になりたい!と思っている声優志望の方、
また声優として現在活動していて、さらに自分の知識を深めたいと思っている方にぜひ読んで欲しい本をご紹介したいと思います!
もくじ
業界の構造がわかる本
- 日本のアニメの始まりから、今のアニメ産業までを学べる
- アニメの作られ方、関わる会社がわかる
- アニメでどうやってお金を生み出すのか、ビジネスとしての観点から業界を見られるようになる
こちらは全く別の業界の方と自分が運営しているオンラインサロンで交流があった時に、「声優業界のことをもっと知りたくて」と購入してくださっていたのに影響されて買ってみた本です笑
でもね、意外と自分がいる業界のことって知らないこと多いなって思いました。
日本を代表するカルチャーのはずだけど、アニメがどのようにして作られるようになったのか、どの会社が作り始めたのか、とか全然知らなかった。
ビジネスとしてのアニメ産業の構造もわかってなかった。
自分が事務所に所属して声優として頑張っていこう、という時は
とにかく現場に出て「覚えてもらおう」「もっとたくさん起用してもらうにはどうしたらいいか」ということばかり考えていました。
業界全体のこと、アニメがどうやってできているのか、どんな会社が関わってるのか、
業界が今抱えている問題はなんなのか、お金はどうやって流れているのか、
そんなことを深く知ろうとしたのはフリーランスになってからでした。
製作委員会方式とかさ、聞いたことはあってもいまいち理解できていなかった。絶対そういうこと知っておいた方がいいと思うんですよ。
現場でお会いすることができるスタッフさんというのは限られていて、もっともっとたくさんの方が関わってアニメを作ってくださっているのに、
その想いを背負ってアフレコをするのが声優なのに、
どんな会社や人が関わっているのか理解できていないのはマズい。
体系的にそういったことがまとまっている本で、業界のことを学ぶのに最適です。
少し大きめの本なのでできれば紙媒体で読むか、電子でもiPadとか大きめのディスプレイのもので読んだ方がいいかも〜!
→声優の収録時間は超短くて、なのに一番目立つのも声優っていう責任
解剖学的に発声を理解する
- オールフルカラーで発声に関わる身体の構造が学べる!
- 声優志望からプロの方にもぜひおすすめしたいハイレベルな内容
こういう本がずっと欲しかったんだ〜〜〜〜!!!!
もともと小学生の頃からボイトレに通っていて、かなり人生初期段階から「身体が楽器」という意識があったんですが、
楽器は分解して中を見たり、構造を目視できるのに、身体は開けて見ることができない…というのにフラストレーションを感じていました。
なんかサイコパスみたいな言い方になっちゃったけど違うからね。興味の話ね。
自分がワークショップなどで講師をやる時は必ず「一度耳鼻咽喉科に行って、経鼻鏡をやって、声帯の画像をもらってきてね」と言っています。
中が見えないものだからこそ、身体の中がどうなっているのか、どうやって音が鳴っているのか、どこでどのようにして声が造られているのか、ということはイメージできた方が自分の意識を動かしやすいと思っています。
だから割と昔から解剖系の図とかを見て声周りにまつわるところの構造は勉強していたのですが、なんと!発声に関する身体の構造に特化して解説してくれてる本があった!!!!!
これが欲しかった!!!!!!!!!
音が作られる場所である声帯の構造はもちろん、呼吸する時にどんな筋肉が使われるか、とか
顔と顎での声の響きとかについても触れています。
人体の構造を説明した本は結構あっても、「発声」っていう切り口で説明してくれてる本って探してたのに今まで出会ったことなかったんだよね。
かなり専門的な内容になるので出てくる用語とかは難しいけど、
オールカラーでイラストがついているので、構造がビジュアル的に分かるようになってます。
特に用語については理解しなくていいから、「こういう構造なんだ!」って分かるだけでも声を出す時の意識が変わるんじゃないかな。
声優志望の方はもちろんですが、今活躍しているプロの方の教科書としてもとても優れている内容だと思います。
すごくすごくおすすめ!
こちらもフルカラーの大きめの本なので紙媒体か大きいディスプレイで読むのがおすすめ。
私は紙で買いました。値段の割にはうっすい本()だけど中身は濃かった笑
→アニメ声の出し方を練習する前に知っておくべきこと、声優が解説します!
事務所や企業との契約をする時に必要な法律の知識
- 「地下アイドル」向けになっているけど、声優事務所もかなり近いものがあるので読んで欲しい
- かなり易しく分かりやすく、事務所との契約の話や損害賠償などについて書かれている
- 未成年の方にもすっごいおすすめ
最近は声優業界もかなり若年化しており、小学生や中学生の方の活躍も珍しくなくなってきました。
同時に怖いのは、契約や法律の知識なしに業界に飛び込んでしまって、予期せぬトラブルが起こり、心身ともに体調を崩してしまって活動が出来なくなってしまうということです。
- 事務所から納得のできない一方的な契約を押し付けられている
- 自分がやりたくないお仕事を強要される
- セクハラなどのハラスメントを受けている
- 契約を解消しようとしたら、損害賠償を求められた
- 契約終了後数年間、移籍できない、活動できない、芸名が使えなくなる
といったようなことは、声優事務所でもあるあるな問題なんですよね。
そういった事象がかなり易しく解説されていて、法的解釈ではどうなるか、が書かれています。
実際には「裁判する!」とか「法律的にこうだから私が正しい!」って主張するのはやっぱり難しいと思います。
この本に書かれていることも、自分のケースで置き換えてみると「それは無理だろうな…」と思う箇所はいくつかありました。
それでも、法律的にはどういう解釈がなされるのか、ということを知っておくことが自分の助けになることってあると思います。
こういう相談は個人的にもよくされる内容で、悩んでいる人が多いんだなぁって思います。
上記のような悩みを感じている方は、ぜひこの本読んでみてください!
日本語のお勉強
- 文化とともに変化していく日本語の本来の使い方とともに、一般的にはどういう認識で使われている日本語なのか(誤用も含めて)のアンケートデータも掲載(NHK調べ)
- Q&A形式ですごく読みやすい(一気読みした)
- 項目ごとに挟まれる著者・塩田さんのユーモアにいつもニッコリしちゃう
【Chapter1 とまどう日本語】より
Q1 「私情により欠席します」というのは、言い方としておかしいのでしょうか?
一部抜粋
Q2 「味あわせる」「味わわせる」のどちらが正しいのでしょうか?
よく聞く日本語だけど真剣に考えてみると、なんかおかしいかも?
あれ、何が正解だ…?
ってなることありますよね笑
そういう日本語が全部で61パターン紹介されている、声優やナレーターにとってみるとめちゃくちゃ楽しい読み物です。
著者の塩田雄大さんは声優・ナレーターがみんなお世話になっている『NHK日本語発音アクセント辞典』の改訂(1998年版・2016 年版)に従事された方。
NHK放送文化研究所の主任研究員として放送で用いる日本語の方針立案・策定に関連する言語調査・研究を担当されていらっしゃる方です。
かっけーーー!一度お話聞いてみたいぜ…めちゃくちゃ興味ある…
言葉の使い方やアクセントって時代・文化とともに変化していってるものなんですよね〜!
正しい使い方だけでなく、最近は「こういう風に使われていることが多いようです」というのを教えてくれるのがこの本の魅力です。
時代とともに形を変えていく言語ってなんだか美しいなぁ、なんて思ったり。
演技に感情が乗らない、という人へ
- 感情を表す言葉が色々なアプローチで紹介されている辞典
- この感情の時はこんな内的感覚になるよ、こんな身体反応があるよ、みたいなさまざまな表現を紹介してくれる
- 眺めてるだけで勉強になる、人間って面白い
最近声優や声の仕事に興味がある方向けのボイトレ講師をやっております。
そこの生徒さんで、台本を読んでもらってもどうにもセリフに感情が乗らず、「ただ本を読んでいる感」が出てしまう方がいらっしゃったんですよね…!(これ結構声優志望の方のあるあるな気がする)
そこで、
セリフ一つ一つに、どんな感情でこのセリフが出ているのか、書き込んでみましょう!
とアドバイスしたところ、
感情を表す言葉がなかなか出てこないです…
と困ってしまっていました。。
そこでおすすめしたのがこの本!
辞典とついている通り、感情を表す語彙がたくさん載っています。
あと、「他にもこんな言い回しがあるよ!」みたいなのがたくさん紹介されていて、感情を表す言葉をいっぱい学びたいという人には超おすすめな本なのです。
130の感情について掲載されているんですが、
例えば「愛情」だったら、【この感情を想起させる動詞】として
- 目を輝かせる
- 打ち明ける
- 抱擁する
- 見つめる
- にっこりあ悪
- 凝視する
- うずうずする
- 触れる
- 信頼する
といったようなものが紹介されています。
愛情を感じる時に人がどんなことをするのか、が紹介されてるんですね!
愛情一つとっても色々な表現があるし、身体的にもいろんな反応が出てくるよね
クリエイターには絶対にタメになる本だと思っています…!
大先輩の経験を知る
- 敬愛する大塚明夫さんの著書
- 厳しいけど愛ある言葉が並んでます。厳しいけど。
いつもニコニコ優しくてジェントルな明夫さんですが、長くこの業界でご活躍されてきたからこそのお言葉が並んでいて、決して勇気をもらえる内容ではないです。(良い意味)
むしろ声優を目指している人にはきつい内容だと思う。刺さりまくっちゃうんじゃないかな。
それでもそこに愛情を感じるし、優しい言葉だけが正しいわけではないと伝えてくれる本です。大先輩としてしっかり後輩に伝えていきたいと思っていらっしゃる内容が書かれていると感じる本。
それほどの覚悟を持って業界を進んで欲しいという気持ちが言葉に乗っています。
声優志望の方にはぜひこれを読んで打ちのめされて、それでも這い上がって欲しい。
マーケティング目線を養おう
- 広告代理店が舞台の、アートと広告がテーマなコミックス
- この漫画自体cakes発で、原作版は最初ボールペンで描かれてた。それがまさかのテレビドラマ展開まで行ったっていう胸熱作品(↑はリメイク版)
- 2020年に再編集版漫画化のクラウドファンディングが行われ、漫画カテゴリー日本最高額となる総支援額5368万円を集めてる(やばくない?????アツくない????)
- クリエイターにとって必要なマーケティング目線の考えを学ぶことができる
オイオイ漫画かよ!って侮るんじゃぁねぇよ!
こちらは夢波サロンのサロンメンバーさんにすすめてもらった作品で、
最初は「ん〜誰に感情移入したらいいんかイマイチわからん。」って思って読み進めてたんだけど、気づいたら泣いてた。
カッコ良すぎる。
キャッチコピーは「天才になれなかった全ての人へ」なので、刺さる人にはグッサグサ刺さっちゃうとは思うんだけど、
実際のブランド名とか実在する人、賞とかの名前もパシパシ出てくるし、東日本大震災など、実際に起きた広告業界の危機的状況を扱ったりしてて、かなり自分ごとのように読めるようになってるのがすごいです。
声優ってね、
どうしても声優だけの目線だと「もっと努力して商品(自分の声)の質を高めなきゃ」って考えがちなんだけど、
商品を売るためにはマーケティング目線も絶対必要で、
- 誰に売りたいのか
- 商品をどう使ってもらいたいのか
- (買いたいと思ってくれる人が)どこでその商品を買えるのか
みたいなことを考えられると強いんですよ…!
これ私もフリーランスになって考えられるようになったことなんだけどね…!
この漫画は広告代理店側が舞台なので、オーディションシーンとかも出てくるし、
どういうことを考えてタレントを起用するか、みたいな考え方も描写されてて絶対声優志望の方にも参考になると思う。
正直普通に漫画として面白いからすすめたい!笑
声優って自分でお仕事を作るのが本当に難しくて、
やっぱり人から起用してもらわないと仕事ができないから、そういう意味でもマーケティング目線は必要だと思うのです。
あと主人公の「俺は俺が諦めるまで諦めない」って言葉が「ほんまそれな」ってなった。
色々やってるとさ〜〜外野からネガティブなこと言われるじゃん?
でも自分が納得できるまで自分はやってやんよ、っていつも私も思ってるのよ。
そういう名言もこの漫画は多いです。
ちなみにジャンププラスっていう集英社の漫画アプリ入れると、初回無料で読めたりするよ〜
原作版では主人公のその後が描かれた第二部があって、巻数としては14巻かららしい!
ここまでリメイク版で読んできたからスイッチできるかなぁって多少不安だけどそもそもストーリーが面白いので私も読もうと思ってます〜
アニメ制作の現場、スタッフの想いを感じられる
- クールの中で一番成功したアニメに与えられる称号「覇権アニメ」
- 今期の覇権を目指して一生懸命作品を作るアニメプロデューサー・監督・アニメーターのアツい話
- クリエイターを描くのが上手すぎる辻村美月さん…
こちらも夢波サロンのサロンメンバーさんにおすすめしてもらって読んだ小説。いやぁ〜〜久しぶりにフィクション呼んだんだけどめちゃめちゃ面白かった〜〜!
アニメ業界のこと学びたいけど実用書的なのは抵抗がある、っていう方はぜひこれを読んでください。
何度も涙ぐんでしまった。アニメっていいよね、アニメを作るって最高だよね、愛をもって作り上げるって苦しくて楽しいよね。
辻村深月さんはもともと大好きな作家さんでクリエイターを描くのが本当に上手だなと思います。
昔読んだスロウハイツの神様がすごく好きで、クリエイターの熱が文字で表現されているのにすごく驚いた。超高まった。
もしハケンアニメ!読んで辻村深月さんのファンになったという方がいらっしゃったら、ぜひスロウハイツの神様も読んでください。
こちらの本は表紙にいる3人に主人公が分かれていて、
- アニメプロデューサー
- アニメ監督
- アニメーター
の立場でそれぞれの話が描かれています。
派遣ではありません。
最初のプロデューサーの話から監督の話に変わった時にはもうプロデューサーに感情移入しすぎてて大好きになってたから
この人主人公で一冊貫いてくれぇええ〜〜いやじゃいやじゃ!他の人の目線に切り替わらないでくれぇ〜!!
って思ったのに、まんまと3人とも好きになったし、ちゃんと後で伏線回収されます。最高。
辻村深月さんはもともと好きな作家さんだったので知っていたけど、
畑は全く違うよな…なんでこんなアニメ業界のこと詳しいんだ…?
ってなりながら読んでました。
声優だけでなく、制作側のことが細かくお仕事内容も含め描写されていて、普通に私が知らないこともたくさん書いてあって勉強になった。
小説だからフィクションだけど、アニメ制作の裏側の話がすごい書いてあって勉強になってしまう。
なんと最後にこんな記述があった。
「 なお、この作品は、現実のアニメーション制作の現場について、皆様にお話を伺いながら、著者の想像を多分に混ぜ込んだフィクションです。登場する人物、団体は、実在するいかなる個人、団体とも関係ありません。 現実のアニメ制作との相違点、誤りがある場合、それらはすべて、著者の不徳と不勉強のいたすところであり、その責任は著者にあります。」
—『ハケンアニメ!』辻村深月, CLAMP著
ひゃ〜〜取材力ヤヴァ〜〜!
さすがの作家大先生だ、、全く違和感なく業界の話として受け止められた…
(どうやら辻村先生はもともとアニメが大好きなのだそうです)
スピンオフ作品がありますゆえ、これから読みます…
最近バタバタしていて移動の時間と風呂上がりのドライヤーの時間のみが読書に充てられる時間なんだけど、最近の移動とドライヤー、いつも鳥肌立ってたし、いつも涙ぐんでた…(危ない人)
まじでオヌヌメ…
声優は自営業なんだよ
- フリーランスのイラストレーターさんが、50代になって「あれ、気づいたら仕事が全然ない…?」っていう衝撃シーンから始まる、明日は我が身すぎるフリーランスサバイバル本
- 年金払ってる???老後のこと、考えてる??????
- 今が楽しけりゃいいや〜で生活していると、楽しい仕事を続けられなくなるかも
フリーランスで働く声優の立場から読んで、めちゃくちゃ怖くて泣いちゃいました。
好きなお仕事だからこそ、「このままじゃ金銭的に続けられない…」なんてことになりたくない。
私がレッスンをする時は、受講してくださる方にいつもお金の話をしています。
どうやったら自分が好きなお仕事をずっと続けていけるのか。それを考える時にお金のことを考えるのはマスト!
自分は老後のことまで考えて働けているだろうか!?
今からしておかなくちゃいけないことはなんだ?!?!?!!
と、ちゃんと考えさせてくれる本です。
同業者の方にぜひ読んで欲しいと思ったので推薦…!
難しそうに感じるかもだけど、マンガでさくっと読めるよ!
幸田夢波のブログが本になりました!
失礼いたしやす!ダイマの時間です!笑
ここまで紹介してきた本はもう本当に必ず読んで欲しいレベルでおすすめの本なのですが、その並びですみません、宣伝を…させてください…笑
このブログはもう700近く記事があるのですが、その中から厳選してぜひ読んで欲しいと思う記事をまとめ、書籍用に文体を直し、電子書籍として発売しています。
声優を目指している方や声優として今活動している方のおなやみに答えられるような本になっていればいいなと思っています。
こちらの本は私が運営しているオンラインサロン夢波サロンのメンバーさんと一緒に編集をし、出版をしました!
記事数も多くなってきたので、本として体系的ににブログを読んでいただけるようになっているので、ブログをもーっとしっかり読みたい!と思ってくれたらぜひご購入いただけると嬉しいです!
よろしくお願いします!!!!!!
読んでくれてありがとうございました!
ではっ
ただ声優業界に入る前にぜひ読んでいただきたい!と思う本はいくつかあるんだ!