最近の声優業界はアニメやゲームの仕事が注目されがちですが、
中には洋画や海外ドラマの吹き替えの声優になりたい、と思っている声優志望の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私の知り合いの声優さんも、吹き替えの声優になりたくて業界を目指した、という人は結構います。
アニメも吹き替えの現場も経験して思うことは
同じ声優の仕事だけれど、内容は全く違う、ということです。
芝居の組み立て方も違うし、テクニックも違うし
なんなら現場の雰囲気も結構違います。
まぁ現場の雰囲気はもちろん現場によりますから、少なからずどこに行っても雰囲気は違うのですが。
ということで今回は吹き替えの声優になるにはどうしたらいいのか、ということについて話してみたいと思います。
若手が入りづらいのが吹き替えの現場
吹き替えの現場ははっきり言って難しいです。
演技派で芸歴も長い先輩がたくさんいらっしゃることも多く、
若手の声優が入っていける現場は限られています。
特に劇場公開ものの洋画の吹き替えなんかはなかなか現場に入るのは難しいですね。
有名な女優さんや俳優さんの場合は、「この人にはこの声優さん」という風に長年声を当てる声優さんが決まっていることもあります。
中には20年以上同じ俳優さん、女優さんの吹き替えを担当している声優さんもいるわけです。
そうなってくると、現場も年齢層の幅が結構あったりなんかして、
アニメの現場より多様な声優さんがいらっしゃるイメージが強い気がします。
もちろんアニメの現場でも色々な声優さんがいらっしゃるんですが、
アニメは場所が動かないアニメなんかもあったりして、
ワンクールずっと同じ場所で話が繰り広げられる、というような会話を楽しむ感じのアニメもありますよね。
若手声優さんで座組が固められている作品もあります。
そういった作品があるアニメに比べると、
吹き替えの現場の方が年齢層が幅広い現場が多いように感じます。
つまり登場人物も若い人ばかり、というわけではなく、色々な年齢層の登場人物がいるんですね。
作品によっては登場人物がものすごく多い場合もあります。
そうなってくると兼ね役も結構難しいんです。
同じ作品の中で子供から大人の役まで兼ね役する、なんてこともあります。
アニメと違う吹き替えの演技
冒頭でアニメと吹き替えはそもそも仕事として別物だ、というお話をしましたが、
アニメはそもそも画が完成し切っていないところに声を当てることが多く、割と芝居先行で制作していくところがあります。
画が完成した状態で収録、という現場もあるにはあるのですが、最近は少ないです。
対して、吹き替えの場合はオリジナルの映画がありますから、
画というか、映像が完璧に出来上がっている状態で声を当てることになります。
それもアニメーションではなく生身の人間です。
アニメは無音の状態で収録が進みますが、
吹き替えの場合は耳にヘッドセットかイヤフォンをつけて、原音を片耳で聞きながら吹き替えをしていきます。
なので仕事の仕方も全く違うんですね。
吹き替えの場合は原音を聞きならがらそこに声を重ねていくようなイメージです。
吹き替えに強い事務所に入る
事務所によって強い現場のジャンルというものがあります。
大まかに言えば
- アニメが強い事務所
- 吹き替えが強い事務所
- ナレーション系が強い事務所
みたいな感じでしょうか。
これはその事務所が今までお付き合いしてきた制作会社やクライアントによるものです。
吹き替えの声優になりたいなら吹き替えの現場チャンスをたくさん持っている事務所に所属した方がいいでしょうから
事務所のホームページなどを見て、どういう実績があるのかということを調べてみてください。
肺活量と耳を鍛える
テクニカル的なことをいうと、
吹き替えの声優になるには肺活量と耳を鍛えておくといいかと思います。
アニメの現場に比べると、原音に息遣いが入っていたりするので、吹き替えの現場の方が声が太い人が多いような感じがします。
声優になりたい、という時点で肺活量が鍛えるべきなんですが笑
でも満足することなく、追求するべきかなと思います。
舞台経験がある方も吹き替えの現場には多い気がしますね。
あとは耳。
これは重要で、
原音にどんな音が入っているか、セリフをどんなニュアンスで喋っているのか、ということを聞き分けることが吹き替えでは必須になってきます。
息遣いなどはアドリブとして扱われていて、台本に明記されていないこともあるので
自分で自宅でチェックする時にどういう音がしているのかは聞き分けてチェックしておかなくてはいけません。
原音のニュアンスも大切で、聞いたセリフの音階を再現できる、
つまり真似することができるというのは必要になってくるスキルだと思います。
もちろん原音通りの音階でなくてはいけないというわけではないですし、
原音を真似することが必ずしも正しい、というわけではないのですが。
現場によって、ディレクターの好みも違いますしね。
最近の吹き替えの現場事情
最近は動画配信サービスも増えてきて
吹き替え作品がものすごく多くなってきました。
一昔前に比べると韓流作品も増えていますが
ネットで見られる吹き替え作品の量、すごいですよね。
なので以前より作品数が増えた、という意味では吹き替えの現場に出られるチャンスは増えたのかなと思えます。
今回は吹き替えの声優になるにはどうしたらいいのかということについて話してみました。
読んでくれてありがとうございました。
では。