声優業界用語に「ペーパーノイズ」というものがあります。
声優と聞くと「声で演技する人!」と思われていると思うんですが
いやそれも全然間違っていないんですけれど、演技が結構メインだと思ったら、実はとんでもなくせわしなく色々考えて収録を行っています。
録音機材というのはかなり繊細なもので、セリフを言う時に
- 喉が鳴った
- お腹がなった
- 靴の足音が入った
- ツバがクチャって言った(笑)(業界用語ではリップノイズと言います)
みたいなことも全部ノイズ扱いになりリテイク(録り直し)になります。
なので演技をする意外にもそういう細かいことをたくさん考えて収録をしています。
ペーパーノイズって何?
そもそもペーパーノイズとはなんなのか。
これは台本をめくる時に起きてしまう「紙の音」がノイズとしてマイクに乗ってしまうことです。
キャラクターが喋ってるセリフの途中で「ペラッ」とか聞こえたら変ですからね笑
この「ペラッ」っていう音が由来だと思いますが、ペーパーノイズはたまに「ペラ音(ぺらおん)」という言われ方をする時もあります。
これが結構新人声優にとっては天敵だったりもします。
お芝居は完璧でもペーパーノイズが乗ってしまったらリテイクになってしまいますからね。
どうしてペーパーノイズは出るの?
ペーパーノイズが出てしまう原因はいろいろあるんですが、そもそもマイクが高性能すぎてものすごい小さな音でも拾ってくれちゃうので、紙をめくる時に音が出ない技術が声優側に必要になるんですね。
昔に比べるとマイクが高性能になったので音圧のない声でも乗りやすくなったと言われるけど、逆にこういう弊害があるという笑
新人声優がペーパーノイズでリテイクになりやすい原因をいくつかご紹介します。
体が動いてしまう
演技をしている時って自然と体が動いてしまうものだと思います。
特にアクションシーンだったり、喜怒哀楽の感情表現が激しい描写だったりすると体って自然と動いてしまうものなんですね。
声優志望の人はぜひ「体を全く動かさずに演技をする」という練習をしてみてください。
熱が入る演技ほど難しいことがよくわかると思います。
そもそも演技って他の人を生きるということですから、動かない方が難しいんです。
でもだからこそ「俳優」ではなく「声優」という仕事があるのかなと思います。
体が動いてしまうと、必然的に持っている台本も動いてしまうのでペーパーノイズが発生しやすくなります。
緊張
特に新人声優の場合は緊張するのも当たり前なんですが
やっぱり緊張してしまうと手が震えちゃうので、これでペーパーノイズになってしまったりするんですね。
セリフが少なくページをめくる必要がない場合は、台本はもう握ってしまって、安定して台本を持てるように工夫するとかがいいかもしれません。
アドリブとかだけなら私は台本をそもそも見ないことも多いです。
セリフが2ページにまたがっている
これは台本の製本上よくあることです。
セリフを読んでる途中で次のページになってしまう。
めくるのにも時間がかかってしまうから焦ってめくろうとしてペーパーノイズになってしまうんですね。
これはセリフをどっちかのページに書き写しておく、という作業をしておくことで解決することができます。
多くの声優さんがやっていることです。
ほとんどの場合は収録前に台本をもらえるので、本番前に書き写しておきます。
たまに台本現場渡しのこともあるけどね(震え声)
やり方は人それぞれ
ペーパーノイズをいつも注意されてしまう人はそれなりに対策をとっています。
めくりがある場合はめくるページに指一本挟んでおくとか。
私の場合は手が大きい方ではなく、台本にあまり馴染まなくてしっかり握れないので
こういうダブルクリップとか目玉クリップなどを背表紙にクリップしてそれをホルダー代わりにしていました。特に分厚い台本の時はこれがあると安定感ある。
この使い方をしてる人もたまぁにいます。
慣れるまでの感覚を掴むためにもいいかもしれません。
見た目が不恰好でもとにかくペーパーノイズを出さずに収録をスムーズに進めることが大切です。
今回はペーパーノイズについてお話ししてみました。
声優志望の方の参考になったら幸いです。
読んでくれてありがとうございました!
ではっ
もちろんリテイク!