声優がセリフを練習する時にどんなポイントをチェックしているのか、ということについて今日はお話してみたいと思います。
ただこれは人によってもやり方が異なるので、
あくまで一例として参考にしていただければと思います。
台本を一通り読む
まずは私は台本を一通り読むようにしています。
アフレコの場合はリハVと呼ばれる映像素材が事前に渡されることがほとんどで
そのリハVがアフレコのスタジオで実際に流れ、それに声を当てるのですが
そのリハVはとりあえず置いておいて、
純粋に本として台本を読みます。
最初から自分の役ばかりに集中してしまうと、その作品を作品全体として見る視点がなくなってしまうような気がして、
まずは作品全体を見られるように、本として読むようにしています。
本として読んだ後に、この作品において自分の役にはどんな役割があるのかな、ということを考えています。
パクが合っているか
次にリハVを見ながらセリフと口パクが合っているかどうか、というところを練習していきます。
吹き替えの場合は、原音の言語によっては全体的にまき(早く)しゃべらなくてはいけないこともありますし
逆に全体的にゆったりしゃべらなくてはいけないこともあります。
これは一度原音にかぶせるように演技してみて録音してみると
客観的に原音と自分のセリフの音を並行して聞くことができるのでチェックしやすいです。
アニメの場合は口パクは監督さんなんかが自らセリフを喋って尺を決めてたりします。
長ゼリフだったりするとパクが合わないことも結構あるので
リハVを見つつ、自分の口パクが合うかどうか何度も練習します。
聞こえるか
セリフがきちんと聞こえるかどうか、というのもセリフを練習する上でチェックするべき重要なポイントです。
滑舌は甘くないか、苦手なところはないか
音の強弱は本当にそれでいいのか
といったところを確認していきます。
これも録音した声を聞くことでかなり鮮明にわかるようになります。
滑舌が苦手な部分がセリフの中にあったら、
収録本番まで死ぬほど練習します。
表現で画が見えるか
吹き替えやアニメの場合は映像がありますから表現は声だけではないのですが
自分の声だけを聞いた時に映像が思い浮かぶくらいに表現をすることができているかどうか、ということを必ずチェックするようにしています。
自分で思っているような表現というのは客観的に聞いてみると以外とこじんまりした演技に聞こえるもので
録音して聞いてみると「あれ?」と感じることも多いんですね。
なので自分の声だけで考えた時にどれくらい表現することができているのか、
ということを録音して確認するようにしています。
それ以外の表現を考えられるか
ある程度セリフの練習が出来上がってきたら、
今度は自分が作り上げた演技プランを一旦捨てて、
それ以外の表現方法はあるかな、と考えるようにします。
収録現場ではリテイクがあることがしょっちゅうで、
自分の持っていた演技プランが必ずしも正しいとは限りません。
求められるものに即座に対応できる瞬発力こそ、プロの声優に求められるものだと思います。
だからこそ、収録に望む前にいろいろな引き出しを持っておくようにできるだけするんですね。
もしこれがNGだったらもっとこうしよう、というプランをいくつか持っていくことができると
収録でも対応しやすいと思います。
私なりの練習方法ですが、今回はセリフの練習方法について話してみました。
読んでくれてありがとうございました。
では。