声優の仕事内容は具体的にどんな感じなのか。
今でこそ収録風景などがテレビで流れたりすることは多くなりましたが、
それでも紹介されるのはアフレコ現場の様子などが多く、どんな風にアニメ声優のお仕事がまわってきて、どんな流れでお仕事をするのか、
ということはあまり詳しく紹介されているところは少ないと思います。
今回は特に声優のお仕事のなかでも、アニメの収録の仕事について、詳しくお話してみたいと思います。
仕事はオーディションから始まる
アニメの仕事の場合は大体の場合がオーディションを受けるところから始まります。
声優事務所に所属している場合は
- 事務所自体に来たオーディション
- 自分の知り合いから指名いただいて受けるオーディション
の二つのパターンがメインです。
基本的に今結構売れている声優さんでも「新人声優」という括りになっている方は大体の方がオーディションを受けて仕事をとっています。
割とみなさんが知っている声優さんでもオーディションいっぱい受けてたりします。
大御所声優、と呼ばれるくらいになってくると、
オーディションはなく指名でお仕事がくることもありますが、結構知名度の高い声優さんでもオーディションって受けてるものなんですよね。
オーディションでは
- 役に合っているお芝居、声質か
ということ以外に
- 他のキャストとのバランス
- 事務所の枠の関係(大人の事情)
みたいなことも考慮されます。
キャスティング権がある事務所さんもありますからね。
合格後スケジュールキープ、決定
オーディションに合格することができて、晴れてアニメで役をもらうことができたら、
そこからスケジュールのお話になってきます。
基本的にメインの声優さんとお仕事が忙しい声優さんのスケジュールが合うところで収録が組まれます。
もしくはものすごく忙しい声優さんを起用する場合は、スケジュール面から考えてキャスティングされていくこともあります。
アニメの場合は平日の
- 10時から15時
- 16時から21時
が収録になる場合が多いです。
もちろん土日の現場もありますが、基本的には平日の方が多いです。
レギュラーの仕事、
つまり、毎週出番があるアニメの場合は大体放送予定の話数分より何週か多めにスケジュールキープが先に来ます。
例えば12話のアニメなら、11月から2月までの毎週何曜日の何時から何時、というスケジュールキープが先にきます。
スケジュールキープ、というのは「仕事になるかどうかはわからないけど空けておいてください」というものです。
スケジュールの決定連絡が来たらそのお仕事が決まった、ということになりますが、
この決定連絡は前日になったりすることも多く、結構急です。
逆に急にバラシになって仕事がなくなり、空けておいた1日がまるまる休みになってしまう、ということもあります。
仕事になるにしても、休みになるにしても
スケジュールは結構急なものが多いんですね。
特に他の仕事に比べるとアニメは制作現場がおしていることが多いので、スケジュールが急なものが多い傾向にあると思います。
台本・リハV渡し、練習
大体決定連絡が来る頃に
- 台本
- リハV
というものをもらえます。
これは制作会社が用意してくれるものなので、
声優事務所に所属している場合は事務所のマネージャーやスタッフさんが制作会社から回収して「事務所に取りに来てください〜」という連絡をくれます。
フリーランスの場合は自分で制作会社さんに取りに行きます。
こういうところはやっぱりフリーよりも事務所に所属している方が仕事が円滑に進みやすく、ありがたいことっていっぱいあります。
台本とリハVを手に入れたら、家でひたすら練習です。
リハVというのはリハーサルをするためのVTRで、アニメの映像をDVDに焼いたものです。
アニメの映像、と言ってもアフレコの段階で出来上がっている映像なので
みなさんが普段放送で目にしているアニメとは違って、大体の場合が色が着いていない絵コンテの状態で、
間に合っていないと棒人間みたいな画の時もあります。
キャラクターが喋る箇所には「今しゃべってます」というのがわかるようにボールド、という表示が出ます。
動画として完成していない時は口パクが動かないのでこのボールドを頼りにセリフをどこで喋るのか、ということを判断しているわけです。
むしろこの状態に慣れている声優が最近は多いので、たまに画が完璧にできているリハV(色が入っていてキャラも動く)をもらうと
口パクに合わせるのに苦労している声優もいます。
私もどちらかというと画が出来上がってないリハVの方が慣れてます笑
昔は結構映像ができてて、口パクにしっかり合わせなきゃいけないことも多かったらしいんですけどね〜
ただ、リハVには必ずタイムコードという「この動画の何分何秒です」というのがわかる表示が出ているので
台本に「タイムコードの何秒のところから喋り出す」というメモを書いておけば喋り出しをミスることはありません。
セリフの尺だとか口パクに合わせられるかだとかはもう完全に感覚で、一種の職人芸です。
これが本当に神がかり的に上手な大先輩の声優さんとかもいて
収録現場で感動することもしばしばあります。
収録当日
当日は
- 現場が初めて
- 怪我してる
などといった特別な事情がない限りは
事務所に所属している声優さんでも、大体家から普通に一人で収録現場に向かいます。
結構みんな普通に歩いてます。
最近は声優さんのことを芸能人ばりに追いかけたりする方がいるようですが、ご本人たちは結構普通の生活をされている方が多いのです。
声優は顔出しの仕事と違って、声優さん1人に1人のマネージャーがつくわけではありません。
大体がマネージャーが複数人の声優を掛け持っています。
仕事現場にマネージャーが来てくれることもあれば、来てくれないこともあります。
結局事務所に所属していても、声優は仕事をする時は一人で戦っていかなきゃいけないようなところがあるんです。
アフレコはアニメの場合、大体1話あたり3時間〜5時間くらいで終わるのが平均です。
でもレギュラーがずっと続いているようなアニメだと2時間切る現場もあるらしい…すごいなぁ。
アフレコ中は結構和気藹々としている現場が多くて、スタッフさんや声優も差し入れを持って行って、
休憩中は差し入れを食べながら次のシーンに備える、みたいな感じです。
収録が終わったら各自解散。
ミキシングルームにいるスタッフさんたちにご挨拶をして各々帰ります。
→声優が初めてアフレコに行く時に気をつけなくてはいけないこと
ギャラ支払い
事務所に所属している場合は仕事に対するギャラは事務所が管理してくれます。
制作会社から事務所に行くお金のうち、マージンを引いてもらって事務所から個人にギャラを振り込んでもらうような形ですね。
ただ、仕事を終えてから制作会社からギャラが振り込まれるまでの日数はまちまちで
事務所に入っている方が「制作会社から払われなくてもちゃんと事務所が先に払ってくれる」みたいなこともあるので結構セーフティです。
さすがにアニメの収録でギャラが払われない、なんてことはあまりないと思いますが。
基本的にはお仕事を終えてから2、3ヶ月先にギャラが振り込まれるのが普通です。
芸能系のギャラの振込って結構曖昧だったりするんですね。
映画出演してた友達とかも、映画の興行収入によってギャラが変わるから、ギャラが振り込まれるのは撮影してからずっと先、みたいな話をしていました。
まぁ映画に関してはどれくらい売れるかによって入ってくる収益が違うわけですからしょうがない部分もあるのでしょう。
事務所やクライアントさんと信頼関係をきちんと築いていくしかないんでしょうね。
お仕事終了
ざっくりと声優の、特にアニメの収録のお仕事について話してみました。
声優さんは、お仕事一つでも結構長期的に動く案件があったり、単発で特急でお仕事が終わってしまったりなどまちまちで、
慌ただしい毎日を過ごしています。
すべてが並行して進行するのでスケジュールがごちゃごちゃになってしまいがちだったりします。
でもそれはそれで、毎日が全然違う毎日になるので楽しい仕事だと思っています。
読んでくれてありがとうございました。
では。