今回は声優とナレーターの違いについて!
声優は声の俳優、という意味なので、
広義的にはナレーターの仕事も声優っちゃ声優なんだけど、
仕事してるとナレーションの仕事ってやっぱすごい特殊で、また他の仕事とも全然違うな〜と感じるので、そんなことをちょっと話してみようかな〜と思います!
声優とナレーター、定義は?
特に定義みたいなものはないんだけど、なんとなく個人的なイメージとしては、
声優の仕事は、
- アニメ
- 外画吹き替え
- ゲーム
がメインかなと思ってます。
それに対してナレーターというのはナレーションの仕事で、
さらにナレーションの仕事にもいろいろあるんだけど、
- CMナレーション
- テレビ番組のナレーション
- 店内放送ナレーション
- 企業紹介動画のナレーション
- 美術館とかの音声ガイドのナレーション
とかがよくあるものかなぁ。
実は声優の仕事もナレーターの仕事も、昔は俳優さんのお仕事だったそうです。
声の仕事に特化した声優・ナレーターという仕事が確立していったのは後々のこと。
「声優なんてもんは、昔は仕事のない俳優がバイト感覚でやってたものなんだ」っておっしゃってる大ベテランさんもいました。今とは全然感覚違うね〜
現場、媒体によって求められることが違う
声優とナレーターの大きな違いは求められるものが違う、ということだと思います。
声優の仕事だと、「役として生きる」ということが求められる。
そのキャラクターだったらどんな感情になって、どんな声が出るのか、ということを考えて仕事をします。
それに対してナレーターの場合は、「聴き手にどう聞こえるか」ということをとても意識します。
ナレーションの仕事は「説明すること」を求められることが多いので、どの言葉をどのように表現したら、音としてわかりやすく聞き手に受け取ってもらえるか、ということをすごく考えるんですよね。
ナレーションの現場では「この音だと誤解が生まれるかもしれないので、こっちの言葉の方がいいかもしれません」なんていうご提案することもあります…!
ナレーションの仕事だとものすごく専門性の高い、しかも超絶長い文章を読んだりすることもあるんですけど、
そういうのを聞き手に理解してもらえるように読まなきゃいけない。
もちろん専門用語とか、その業界のことを調べるところから始まります。アクセントもアクセント辞典に載ってなかったりとかよくある笑
難解な文章のどこでブレスをとれば、自然に文章が入っていきやすいか?
どこを強調すれば、よりわかりやすくなるか?
とかを考えます。
この作業はある程度キャラクターものの収録、つまり声優の仕事でもやるけど、
専門用語の羅列や長文ばかりのセリフ、みたいなのはあまり多くはありません。
どちらかというとそのキャラクターに今巻き起こってる状況をとにかくリアルに自分の中に落とし込んで、その時にどんな声が出るかを探っていくって感じで、アプローチは全く違うように感じます。
さらには、声優の仕事、ナレーターの仕事のそれぞれも実はもっと細分化はできて、
例えばアニメの仕事と吹き替えの仕事も全然アプローチというか、求められるものは違うなって感じます。
アニメはどうしても実写に比べると視覚的な情報量が少ないから声にもっと情報を乗せる感じでデフォルメされた芝居が多いけど、
吹き替えの仕事だと映像から読み取れることもたくさんあるし、原音(映像のもともとの音、俳優さんたちの声)があるので、そこから情報を拾って行って、それに息を合わせていくような感じ。より芝居にはリアルさがあります。
同じアニメでも深夜アニメとジブリ作品は全然芝居が違うし、
現場によって求められるものって全然違う…!
声優って言った方が職業としてはわかりやすいけど、声優とナレーターは全然違うし、仕事によってもやってることって結構違うな〜って思うんですよね。
だから「声のお仕事」っていう表現が一番包括的に表せるかなと思ってる。
私も声優ブロガーっていう肩書きにしたけど、ナレーションの仕事も多いし、声優=アニメみたいな風潮あるので若干のズレはあるかなぁなんて思いつつ、
それでもこの情報社会で「わかりやすい」を優先して声優ブロガーとしています笑
今、声の仕事で仕事へのアプローチに悩んでいる方は、
- 「どういうものが求められているのか」
- 「最終的にどういう作品(制作物)になるのか」
ということを先に考えてみると、どのような表現が求められているのか見えてくるかもしれません。
ナレーターの方が仕事はたくさんある?
体感的に、ナレーターの方が仕事の数はたくさんあると思います。
- アニメ
- 吹き替え
- ゲーム
というのはコンテンツありきになってしまうけど、ナレーションは映像がなくても必要なケースがいっぱいあるし、テレビ番組表見ても、アニメの本数は数えられるけどテレビ番組は月曜から日曜までびっしり。
声優事務所に所属していた頃は、マネージャーさんから「ナレーションができるようになりなさい。アニメは短期的なものが多いけど、ナレーションができれば一生仕事ができるよ」と何度も言われていました。
マネージャーさんすごく私のこと考えてアドバイスしてくれてたなぁ
アニメはどうしても1クール(3ヶ月)での入れ替えが多いけど、ナレーションでレギュラーがとれれば長期的にお仕事ができます。
声のお仕事の業界では、レギュラーって本当ありがたいんだ…
いつだって不安定な働き方だからね。
ナレーターはギャラが高い?
ナレーターの方がギャラが高いって聞きました!
ってよく言われるんだけど、そんなこともないです笑
これはお仕事によるというか、
声優の仕事でも媒体によってギャラに違いがあるように、ナレーターでも結構ギャラには幅があります。
特に最近はYouTube動画のナレーションの仕事が多く出回っていますが、こういうのは本当にびっくりするほど安い…
もちろんナレーターの知名度も関係するけど、
制作する企業側にどれくらい予算があるか、というのにも左右されます。
テレビCMのナレーションは人によっては15秒CMなのに100万円とかもあるし(!)
逆に地方CMの場合は予算が少なくて1万円前後、とかも聞いたことがあります。
事務所に入ってないとここらへんは自分で決めなきゃなのですごい難しい〜〜笑
→フリーランス声優が仕事依頼を受けるか考える時基準にしていること
ナレーションの仕事にたどり着けないのはなぜ?
質問箱にて、ナレーションのお仕事に関する以下のようなご質問をいただいていました。
この問題はまず、ナレーションのお仕事がその人に合ってるかどうか、というところの問題があります。
ここまでお話ししてきたように、キャラクターボイスのお仕事とナレーションのお仕事は全く求められることが違うので、
「ナレーションのお仕事を得る」というのが声優業界で全員のゴールというわけではありません。
そもそもナレーションのお仕事は得意じゃない、自分のやりたいことじゃない、という方も一定数いると思うんですね。
声があまりに特徴的すぎて、ナレーターとしては起用しにくい、というケースもあります。
声が特徴的すぎると、視聴者が「ナレーションの内容が頭に入ってこない…」みたいになっちゃうからね
あとは、声優事務所によってやはり強いお仕事ジャンルというのはあるので、
ナレーションの案件が獲得しづらい声優事務所、というのもあります。
ナレーションのお仕事をもっとしたいのであれば他の事務所に移籍した方がいいね〜みたいなケースです。
さらに、アニメやゲーム関連の制作スタッフさんと、ナレーションが求められる制作現場のスタッフさんはちょっと顔ぶれが違うな、と感じます。
なので、ナレーションのお仕事が欲しいのであれば、ナレーションが求められる現場を開拓していく必要もあるかなと思いますね〜!
→声優がやってる、宅録でナレーションやセリフの収録をする時のコツ
ということで今回は、なんとなく個人的に感じてる声優とナレーターの仕事の違いについて話してみました〜!
読んでくれてありがとうございました!
ではっ
やっほい!声優ブロガーの幸田夢波です!