声優のキャスティングについてというのはなかなか触れられない話だと思います。
もちろん声優がキャスティングに関係することは新人のうちは特にありません。
ただ、ベテラン声優さんになってきたり、ある程度制作スタッフさんと親交があるとキャスティングの詳しいお話を聞けたり、
キャスティングの際に他の声優さんを推薦することができるようになってきます。
むしろ制作スタッフ側に入っているような声優さんもいらっしゃったりします笑
スタッフさんと仲良くなることができればある程度キャスティングの話が聞けるし
意見交換をすることも可能なのです。
声優側からのキャスティングの意見も聞きたい、という方も多いですしね。
今回は私がスタッフの方から伺ったキャスティングの基準として考えていることについて少しお話ししてみたいと思います。
キャラに合っているか
キャスティングする時にやはり一番重要視されるのはキャラクターに合っているかどうか、ということに尽きます。
人にそれぞれ体格や線の細さがあるように
キャラクターにも表現したい体格というものがあります。
だから声質的なところでそのキャラクターに合っているかどうか、というところはやっぱりキャスティングにおいて大切なことです。
細くて華奢なキャラクターなのに声が太め、なんてことは特殊設定がない限りはないですよね笑
だからこそ、特徴的な声だから声優に向いている、変な声だから声優の仕事がとりやすい、ということは決してなくて、
自分の出せる声の範囲でどれくらいキャラクターに寄り添っていくことができるのか、ということがキャスティングされるされないの違いに出てくるんじゃないかなと思っています。
特徴的な声が必ずしもキャスティングしやすい声か、というとそうではないんですね。
キャストのバランス
これはスタッフさんに聞いて新発見だったことだったのですが、
キャスト同士のバランス、というのもキャスティングをする上で見るポイントだそうです。
例えば「このメインキャラクターは絶対にこの声優さん」というのが決まっていれば、そのキャスティングを軸に、
その声優さんのお芝居や声質と相性のいい声優さんを他のキャラクターにキャスティングする、ということです。
やっぱりキャラクター同士の差別化というのはとても重要なことで、
似たような声質の声優さんがメインキャラクターで一緒にキャスティングされてしまうと「どっちの声かわかりにくい」ということにもなります。
セリフの中にはオフ台詞というそのキャラクターの口元が映っていない台詞もあるので、
そういった台詞の時にやっぱりキャラクター同士が差別化できている方がアニメを見ていてもわかりやすいですよね。
あとは声優さんの性格というか雰囲気のバランスも考えられるそうです。
座組の雰囲気というのは作品を作るのにとても重要で
やっぱりみんなが団結できるような座組は収録もうまいこと行きやすいです。
お芝居にも「牽引力がある人」というのが絶対いて
みんながついていきたくなるような勢いのあるお芝居をされる声優さんっていらっしゃるんですね。
そういう方がメインでキャスティングされたりすると座組がまとまりやすい、ということがあります。
付属物関連
アニメやゲームの場合は特に、付属物が重視されてキャスティングされることが多いです。
例えばイベントや、ライブなどが必ず確定している場合。
歌って踊れる声優さんの方がキャスティングされやすい、だとか、身長や見た目でキャスティングされる、ということももちろんあります。
これはもう最近のアニメ声優業界の風潮なので声優になりたい、という人は理解しておくべきことですね。
そもそもアニメは特に放送自体が無料で見られてしまうテレビ放送なので
そういった付属物関連で利益を出すしかないんです。
だからこそ、声優業界がどんどんアイドル化しているんですね。
指名
キャスティングにはスポンサーの指名、というものももちろんあります。
ワンクールのアニメを1本作るには億単位のお金が必要ですから
もちろんそのお金の流れがキャスティングに影響することもあるわけです。
でもそれは作り手が「この声優さんをキャスティングしたい」と思ってキャスティングしているわけですから
悪いことではないと思いますよ。
ただアニメを作るにもいろんな会社、いろんな個人が関わっているので、歯がゆい思いをする人がいることも事実です。
キャスティングはいろんな理由がある
声優ファンの方や業界関係者の方は特に
コンテンツのエンドクレジットをよく見る方が多いでしょう。
キャスティングには実はいろんな理由があって、いろんな制作スタッフ側の思いが詰まっているものなんです。
ぜひそんな想像も巡らせながらアニメやコンテンツを楽しんでみてくださいね。
読んでくれてありがとうございました。
では。