声優として仕事をしていると少なからず同年代や自分よりも若い子たちに
「声優の演技はどうやって勉強したらいいですか?」ということを聞かれます。
演技って教科書があるわけでもないし、どうやって勉強するのかなんてよくわからないものですよね。
声優として仕事をしている中で、「お、これは演技の勉強になるぞ」と思うことは多々あり、
普段心がけていることもいくつかあるので、
普段私が何を考えながら演技に取り組んでいるのか、というお話をしてみたいと思います。
街中の声の研究
声優の仕事の中の一つに「ガヤ」と呼ばれる収録があります。
これは「環境音」というものの中の一つになるんですが、
例えばカフェに入ってカフェが無音、ということはありませんよね。
- 注文を相談するカップル
- 世間話をするおばちゃんたち
- おもちゃで遊んでる子供
- 注文をとるカフェ店員
などなど。
たくさんの人たちがカフェの中で話をしていて、そこは「ガヤガヤ」してるはずです。
その「ガヤガヤ」を音声として録音するのがガヤ収録です。
アニメのカフェや学校のシーンなども、よく見てみるとガヤガヤした声が聞こえるはずですので耳を済ましてみてください。
このガヤ収録では特に役はふられず、その場にいる全員で収録することの多いです。
もちろんイレギュラーはありますが。
台本にセリフなどもなく大体「<ガヤ>」としか表記されていないので、
みんなその場でアドリブで喋り始め、それを収録します。
実はこれ結構難しくて、得手不得手もあるのですが、
ガヤ収録がしっかりできるようになるまでは声優としてデビューしてからも3年かかる、とも言われています。
私もデビューしたばかりの頃は、こういう人たちがここにいるだろうからこういう会話がされているだろうな、というのをしっかり想像して、
何パターンか台本に書き込んで行ったりしていました。
でも慣れてきて気楽に収録できるようになると、
普段は役があって遊べないセリフも、
あまり聞こえないのをいいことに遊ぶことができるのでアドリブはアドリブで楽しいものです。
そしてこのアドリブでやるガヤ収録の演技の一番勉強になるのは、普段の日常生活だと思っています。
- 電車に乗る時
- 学校で授業を受けている時
- カフェにいると時
- 道端を歩いている時
どんな時でも、静かにしなきゃいけない空間でない限り、
周りには常に喋っている人がいるでしょうし、その会話を聞いていると結構面白いもんです。
おばさん同士の会話とか本当に聞いていて飽きません。
アドリブの演技では「そのシーンの中にどんな人がいるのか」ということを考える必要があります。
だから自分がいろんなシーンを経験していることが大事だと思うんです。
普段何気なく聞き過ごしてしまっている人の声、
それが実は演技の教科書になります。
ちなみにこのガヤ収録には主人公やメインの役を演じている声優さんも加わることが多いです。
よっぽど声が目立つ場合はおやすみになりますが笑
でもベテランさんほどこのアドリブ芝居を楽しんでいる方が多いですね。
真似をする
面白いなぁと思う声の人、喋り方の人の声真似をよくしています。
実は聞いたものを真似して自分で出せるようになる、というのは耳のトレーニングにもなりますし、
自分の声を構築するトレーニングにもなります。
聞いたものを瞬時に真似する、というのは演技の上で求められる「瞬発力」を鍛える意味でもいい練習になると思います。
ラベルを読む
暇があったらラベルを読んでます。
飲み物とかお菓子とか文房具とか。
ラベルを見ると大体文章が書かれているんですよ。
ちなみに今飲んでる飲み物には
「衝撃をさけてください。開缶時の噴出、容器破損。密封不良につながります。」
という一文が書かれています。
これをナレーションの仕事だと思って読んでみるわけです。
結構難しい単語が続いているので難しかったりするんですね。
これは演技というか、声優のナレーションの滑舌やイントネーションの方の練習になるかと思いますが、
常にサッと用意された初見の原稿でも綺麗に読めるかどうか、というトレーニングになります。
→【声優が教える】滑舌を良くするために今日から気をつけられる事
録音する
自分の声を録音して聞く、というのはとても演技の練習の上で大切なことです。
自分の声はいつもは骨伝導と空気振動の両方で聞いているのですが、
他人に自分の声を聞いてもらう時は他人は空気振動のみで自分の声を聞いています。
なので自分で聞いている自分の声と、録音した自分の声が少し違う様に聞こえるんですね。
私も演技の練習をする時、特にオーディションなんかの練習をする時は
ボイスレコーダーで録音してみて、自分の声や演技がどんな風に聞こえるのか、ということをいつも確認しています。
わざわざボイスレコーダー買わなくても、無料アプリとかもありますし、スマホに標準装備でボイスレコーダーが入っていたりもするのでそれで十分です。
録音してみると直さなきゃいけないところもなんとなくわかってくるので超おすすめ!
作品を見る
これは多くの方がやっていることだと思いますが、
やっぱり演技力をつけたいなら実際の作品を通して演技を研究するのが一番だと思います。
おすすめはやっぱり、ジャンルにこだわらずたくさんの演技を見ることでしょうか。
- 映画
- ドラマ
- 吹き替え
- アニメ
- 舞台
これだけとっても全部全然違う演技をしていると思います。
私が普段演技の練習に、と思ってやっていることを紹介してみました。
他にもいろんな練習方法があると思います。
これから声優になりたい!と思っている人は是非参考にしてみてください。
読んでくれてありがとうございました!
ではっ