先日Twitterでこんな話をしていたのですが…!
最近同業者間でこういう話になることも多く、
さらに声優志望さんがたからいただく相談では多くの相談が声優=アニメ、という構図しか考えられていないものばかりで…
声優にも色々な仕事があるし、求められるものは現場によっても全然違うんだ〜〜〜!!!という話を、叫ばせてください。
私もアニメ大好きでそこから声優業界に入った身だから、声優=アニメっていう考えもすごいわかるんだけど、
きっと他の選択肢も知っておいた方が演じることを楽しめるし、自分の考え方も窮屈じゃなくなるんじゃないかな、って思うんだ!
芝居の種類
高校生の時にアニメ声優デビューさせていただいてから、なんともう干支が一周以上しました。
ヒェッ
声優として声のみの表現が求められる現場以外にも、
- 舞台
- 映像
などにもチャレンジさせていただき、芝居にも種類があるんだワ!というのを学びました。
私にとっては声優としての芝居が先だったんだけど、
そこから舞台にチャレンジしたら、身体が動かねぇ事件が勃発しました。
声優だとマイク前に立って、身体を動かさずに芝居をするのが基本なので、
いざ舞台芝居、ってなった時に、どう身体を動かしていいのかわからなかったのです。
- 普段朝食を食べている時はどんなふうに目線が動いて何を考えているのか
- 意外と人と喋る時って目を見てる時間って短いなぁ
- 友達といる時の自分と家族といる時の自分って結構態度とか仕草とか違うなぁ
などなど、舞台をやるようになってから自分の私生活を客観視して研究してみる、という時間が増えました。
身体が、目線が、どう動いているか、ということを意識できるようになったんですね。
それができるようになってから、より声優として声のみの芝居をするのが楽になりました。
本来順番としてはやっぱり、
【身体を動かす芝居】ー【身体の動き】=【声のみの芝居】
となるんだと思います。
声優の専門学校や養成所に通って最初から声のみの芝居先行で行くと、どうしても身体がどう動くかをイメージできないままに芝居をすることが多くなり、結果表現にも幅がなくなるのかな、と自分の体験を通して感じました。
そしてその次に映像の芝居。
実は大学は映像学科だったんだ…(ポソ)
映像の芝居ではリアルな表現が求められることが多く、
声のみの芝居にどれだけ余分な情報が乗っていたか、ということに気付かされます。
例えばアニメとかだと、立ち上がる時に「よっ」みたいな声をアドリブで入れたりすることが多いですが、
映像芝居でこれをやっていたらちんちくりんです。超変な人です。変な人の役の時しかやっちゃいけないことです。
周りの人に比べて先に演技経験がある分、映像芝居でも結構うまくやれるんじゃないかと思っていたポジティブモンスターな過去の自分を殴りたい。
撮った映像を後から見て「なんでこんなちんちくりんなんだろう、、周りの芝居と全然合ってない、、一人だけ芝居がうざいわぁ、、」って絶望しました。
と、こんな感じで、
芝居にも色々な種類があるというのが芝居の奥深いところだと思っています。
声優も声優である前に役者です。ぜひ色々な表現に触れて、自分の可能性を探ってみてください…!
最近は声優も映像や舞台の仕事がたくさんあるから、色々なものに触れておくに越したことはないと思います。
声のみの仕事でも違いがたくさんある
今度はもう少し狭く、
声のみの仕事、つまり声優の仕事の中での表現の違いを考えてみたいと思います。
声優の仕事と言っても、
- アニメ
- 外画吹き替え
- ゲーム
- ナレーション
など色々ありますが(本当はもっと羅列したいけど分かりやすいところで止めておく)、
これだけでも全然現場で求められるものが違います。
例えばアニメだと、画が完成していないままアフレコをすることが多く、棒人間状態の画にアフレコをすることも結構あります。
制作スケジュールによりけりなので、すでに画が完成している現場も少ないけどあります!
画ができてない、さらに音もない状態でアフレコをするので、
声優の芝居に合わせて後から画を修正することもあるそうです。(お手間はかけちゃうけど、芝居が良いと思ってもらえた証拠でもあると思うのでこれは嬉しい)
こういうのは、たくさんの人が関わって作品を作る醍醐味でもあるよね!
逆に吹き替え作品だったりすると、原音(げんおん)と言われる、もとの映像についている音源をヘッドフォンやイヤフォンで聴きながらお芝居をします。
すでに完成している作品に合わせてお芝居をする。
海外の役者さんの芝居に息を重ねて呼吸するような不思議な感覚があります。
これはアニメと比較するとアプローチが全く逆。
求められる芝居の種類も違って、
アニメだとAD(アドリブ)と言われる、〈目線を動かした時の声〉や〈気づき〉みたいなものが多いし、これは入れられるところは適宜入れていく、みたいな感じだけど
吹き替えの芝居は、そもそも原音があるので、台Vチェック(台本とVTRを自宅でチェックすること)時に、何度も再生して原音を繰り返し聞いて、「ここに自分の役の声入ってるから合わせてアドリブ入れよ!」みたいなことがあります。
アニメの芝居だと割と誇張した表現が多いけど、吹き替えの芝居だとナチュラルな芝居、もともとの映像に合う芝居が求められることが多い。(演出によって変わりますが…!)
もう全然違う仕事みたいな感じすらしてきます笑
ゲームだと一人喋りが多く、ゲーム操作に合わせたセリフ収録になるので、テンポが遅く、しっかり聴かせるような言い回しが多くなりますし、
ナレーションは読み手の我が強いとそもそも内容が視聴者に入っていかなくなっちゃうので、わかりやすく言葉が入ってくるような読み、ずっと聞いていられるような落ち着いた声が求められることが多いです。
ザーーーーっと話してみたけど
こんな感じで、どういう作品を作るかで求められる芝居も違うし、
もっと言えば誰が演出するかでも違ってくる(アニメなら、深夜アニメとジブリでは芝居の方向性が全く違うように)し、
「声優」って言っても、本当に働き方は色々で、現場で求められるものも違うのです。
フゥ。語りすぎたナ
言葉のアクセントと時代
おまけ的な話で、言葉のアクセントについても、現場によって変わったりするよって話をしたいと思います。
若者的なアクセントの傾向として「アクセントの平板化」があります。
例えば、「彼氏」という言葉について。
通常は「か」にアクセントがあって、頭高、つまり一番最初の音が高いのが正しいアクセント(カ\レシ[高低低])とされますが、
若者的な言い方で平板化すると彼氏ィ〜(カレシ ̄[低高高])と発音する人がいます。
サクラと同じ音!
こういうアクセントの変化は時代によって見られるものらしく、
例えばティーンばかりが出てくるような作品の現場では正しいアクセントではないけど平板化の方が採用される、ということがあります。
いくつも現場並行してるとめちゃくちゃ混乱します
これはもう音響監督さんと相談しながら、その現場に合わせて採用されていくもので、
「このアクセントはこれでいかせてください〜〜」みたいな現場指示に従って収録が進むんですよね。もちろん作品内でそのワードのアクセントは統一ということになります。
正しいアクセントが現場でも正しいとも限らない…面白い…
むずいね〜〜
声優になりたい!と思っている声優志望の方には、ぜひ色々なタイプの芝居があることを知って欲しいし、
自分がどういう芝居が好きなのかも常に考えてみて欲しいな〜と思います。
色々な仕事があるし、それぞれの現場で求められるものに対応できるように、普段からアニメだけじゃなくて色々な作品に触れて研究することも大切かな〜と!
そしてそういう仕事の幅を知ることで、仕事に対する考え方も少し力が抜けるんじゃないかなぁと思います。
アニメ大好きで声優になりたいと思った!という人はきっと多いと思うけど(私もそうだったし)
それだけが声優の仕事じゃないこと、ぜひもっと知ってもらえたらな〜と思っております〜
読んでくれてありがとうございました!
ではっ
やっほい!声優ブロガーの幸田夢波です!