声優ブロガーの幸田夢波です!
今回はセリフの覚え方についてのお話ですが
声優の場合は台本のセリフを覚える必要はありません。
アニメや吹き替えの収録の時は台本を手に持ちながら演技をしますし、
ナレーションやゲームなどの仕事なども原稿が手元にある状態で映像を見ながら読みます。
なのでセリフを覚える必要はありません。
たまに声優の新人さんで意気込みを示すために「セリフを暗記してきました!」という人がいますが、
あれは逆に通常の収録との緊張と並列して「セリフを忘れてしまったらどうしよう」という緊張とも戦わなきゃいけなくなってしまい
かえって自分を追い詰める行為なのではないかと思います。
実際セリフを飛ばしてしまって怒られてしまっている人もいました。
声優の仕事は台本をVTRが流れている画面を交互に見ながらしゃべる、というものなので
その技術自体も仕事のうちだと思って磨いていった方がいいのかもしれません。
今回は舞台の時にセリフを覚えなくてはいけない場合、私や周りの役者さんが普段やっているセリフの覚え方をお話しします。
声優さんは舞台をやられる人もたくさんいらっしゃいますからね。
声優のスケジュールって、結構忙しい人は本当に忙しくて、自分の声優の仕事の合間をぬって舞台をやっているので
セリフの覚え方もなるべく効率的で、自分に合ったものを見つけていかないと、本当に時間がないんです。
ただ、自分に合うセリフの覚え方、というのは人によって全然違います。
結構舞台の時に楽屋で「セリフの覚え方、どんな方法でやってる?」という話は話題になりやすくて、本当に人それぞれ全然違う方法です。
覚え方に向き、不向きもあるので、
もしここで紹介する台本のセリフの覚え方が「面白そう!」と思えたなら挑戦してみて、
自分に合ってなかったらすぐやめてください。笑
あくまで一例としてお話しします。
他の人のセリフを録音
私は舞台のセリフを覚える時は自分の出番のところのちょっと前から、自分の出番が終わってはけたちょっと後まで
他の人のセリフを全部自分で音読して、その音声を録音しています。
その際、自分のセリフの部分は無音にしますが、心の中で音読し、セリフをしゃべる間を大体同じくらいにしておきます。
そうすることで、掛け合う人がいなくても、セリフの掛け合いの練習みたいなのができるんですね。
この音声を移動の時間などの隙間時間で聞くようにします。
そしてマスクをすれば電車内などの多少騒音がある場所ならブツブツ呟いてても結構バレません。
たまに感情が入ってしまって声が大きくなる時もあるけど。笑
この方法のいいところはセリフを「会話」で覚えられる、というところです。
セリフを覚える時によく、自分のセリフだけを覚える人がいるんですが、
自分のセリフって絶対にきっかけがないとセリフを出すことができないんですよね。
相手からのセリフがあるからこそ、自分のセリフが出てくるんです。
なのでそのきっかけとなる自分のセリフ周りのセリフを覚えることが、実は結構重要だったりするんです。
そして、他の人の芝居を自分で一通り演じておくことで、「自分がもし他の役だったらどんな演技をするか」ということをさらっておくことができます。
そうやって稽古に臨むと、大体、みんなが自分がやった演技とは違うアプローチをしてきます。
自分は台本・セリフをこういう風に読みんこんだけど、この人は違う読み方をしたんだな、という違いにも気づけて、
より一層稽古が楽しく感じられます。
最近はボールペン型ICボイスレコーダーもありますからこういうのを持っていると台本をチェックしながら録音できて便利です。
録音するだけならスマホのアプリとかでも全然良いと思います。
慣れてきたら早回し
自分のセリフ以外のところを録音した音声で慣れてきたら、今度はその音声を2倍ほどの早さ、つまり早口にして録りなおします。
舞台の稽古の中でもセリフの「早回し」という稽古がありますが、いわゆる早送りをしてるような感じでテンポよく芝居の練習をするんですね。
この早回しの速度に慣れておくことで、芝居のテンポ感を身体で覚えておくことができます。
完全に好みですが、私は間延びした芝居があまり好きではありません。
ギャグ系のものなら特に、早い芝居が好きです。
早くて、でもしっかりセリフが聞こえる芝居、って目まぐるしくて見てて飽きないように思います。
だから「セリフを忘れてしまった」という原因で芝居の間ができてしまうのはできればやりたくない失敗。
お客さんからもその間は「失敗したのかな?」「芝居下手なのかな?」と思われてしまう原因です。
なので、セリフがポンポン出てきてしょうがない、くらいまで覚えてられるような状態にもっていくことが理想です。
日常生活を送っていて、「思ったこと」を「言う」までのスピードってほぼ同時ですよね?
もちろんそこに考えなくちゃいけないことがある時は別ですが、
相手に言葉を発する時って頭の中で「こういうことを考えたからこういうセリフにして言うぞ!」なんて考えたりする人はいないと思います。
パッと考えたことをパッと言う。
そんな日常的な人間の動作によりリアルに近づけるように、セリフは口が勝手に言ってしまった、くらいまで覚えられるといいなと思っています。
あくまで舞台として、視覚的にもお芝居を見せる時は、という話ですが。
声優の仕事とはまた違います。
台本をシーンごとに分けて書き出す
おおまかなお話しの流れを頭に入れるために、
台本をもらったらそれをシーンごとに分けて、自分の中で目次みたいなものを作っています。
あれがこうなったあとにこういうシーンがきて、という組み立てができていると、大きな流れの中で自分の役の立ち位置や役割を感じることができるし、
出とちり(自分の役の出番の時に舞台に出るのを忘れてしまうこと)が少なくなるかなと思います。
セリフを覚えるのも大事なんですが、セリフを覚えてセリフを発するまでに、自分が舞台面に出て行くタイミングを覚えることが大事です。
「ではけ」がしっかりできないとセリフ云々の話にまでも辿りつけませんからね笑
台本に暗記ペン
赤ぺんで着色して、緑の下敷きで隠すやつです!
なんだか懐かしさを感じますね…笑
なんと最近はスマホのアプリでできちゃうやつもあるらしい…すごい。
舞台は基本紙の束の台本を一人一部ずつもらいます。
書き込みは自由なので暗記ペン使っている人がいました。
私はセリフは音で覚える派なので合わなかったですが、セリフを文字で覚える方が合う人にはいいかもしれません。
稽古場で覚える
稽古場で実際に自分がセリフを掛け合う人に付き合ってもらってセリフを覚える派の人もいました。
自分一人でやっても覚えられないし、
相手のテンション感がわからないとセリフを覚えられない、とおっしゃってました。
これは暗記が短時間でできる人、感覚的にセリフを覚える人に向いているやり方かと思います。
私はセリフを覚えるのに時間がかかるタイプで、いっぱいセリフを反芻しないとダメなタイプなので無理でした。笑
自分に合ったセリフの覚え方を
舞台のセリフの覚え方は本当に人それぞれです。
たくさん舞台に立つ機会がある人は、ぜひ早めに自分に合ったセリフをの覚え方を見つけることをおすすめします。
自分が何をきっかけにセリフを覚えているのか、というのを考えるのも大事ですね。
- 音なのか
- 文字なのか
- アクションなのか
- 景色なのか。
みたいな。
合うセリフの覚え方を見つけるためにぜひ思考錯誤してみてください。
読んでくれてありがとうございました!
ではっ