声優をやっているとよく聞くのが「私も声優みたいな声を出したい」という言葉。
あとは「声がいいから声優になれば、と勧められました」という言葉。
これすっごく間違っていると思うんです!
声優業は確かに今すごく流行ってます。
声優になりたい人がいっぱいいるし、昔はアニメの中の人なんて小さい子は知らなかったのに
今や小学生が「好きな声優さんが出てるからアニメを見る」なんて時代。
だからこそ、こういう言葉を聞くようになったんだろうなぁと思います。
ということで今回は「声優みたいな声」という間違った考え方についてお話してみたいと思います。
声優みたいな声って何?
そもそも「声優みたいな声」というものの実態がよくわからない、と思います。
きっと「変わった声」、ということなんだと思います。
よく言う「アニメ声」みたいなことなのでしょう。
しかし、そういう人はあんまり声優の仕事について詳しく知らないんだろうな、と感じます。
アニメを見ても吹き替えを見ても、
そういうアニメ声の人は確かにいるかもしれないけれど、
作品を作っている声優さんのみんながみんなそういう声ということではありません。
確かに特徴的な声は音だけで聞いた時は目立つかもしれません。
しかし、声優の仕事はあくまで作品を作る一員になることです。
あまりにアニメ声すぎて目立つ時は逆にキャスティングしづらい、なんてこともあるくらいです。
アニメ声だから声優になればいい、声優になれるかも、というのはちょっと違うのではないかな、と思ってしまうんですね。
作品を作るにはいろんな声の人が必要で、
さらに言えば、声質だけでみんな勝負しているわけではなくて、「その人にしかできないお芝居」があるからこそその人はキャスティングされているんだと思うんです。
だからこそ、「声優みたいな声」なんていうのは本当は存在しないんです。
吹き替えの現場なんかは特に約の年齢層も幅広いので、中の人の年齢層も幅広くなります。
いろんな声の人がいるからこそ、その作品が素敵な作品になるんです。
良い声も悪い声もない
良い声悪い声、という言い方をよくされていますが
声に良い声も悪い声もありません。
良い声の代表例として、女性は甲高くて可愛い声、男性は低くてダンディーな声、というイメージがあるでしょう。
しかし、アニメを見て、メインキャラクターがみんな可愛くて甲高い声なんてありえないし
男性だってダンディーな声ばかりの作品なんてないですよね。
世間一般的に悪い声と言われる代表にダミ声と呼ばれる、少しハスキーな声がありますが
これも実は作品でその声がとても合う役に配役されればなくてはならない、唯一無二の素敵な声になります。
声優業界には良い声も悪い声もありません。
大切なのは「その人にしか出せない声であること」であり、これはみんな産まれながらに持ち合わせているものなのです。
後天的に好きな声優さんのモノマネをしたりして自分の本来の声とかけ離れたところで喋っている人がいますが
これはとてももったいないことです。
自分の個性を捨ててしまっているということですから。
声優には良い声、悪い声というのはありません。
強いて言えば、「良い声の出し方」と「悪い声の出し方」はあると思います。
これはもうボイトレとかで習うしかないですが、
少なくても「良い声(アニメ声)」に憧れてそれを無理に出そうとするのは「悪い声の出し方」です。
無理やり喉をしめて出す声は声帯にも負担がかかるので、喉が痛くなったり、炎症が起きてしまったりすることもあります。
良い声だから声優になれる?は勘違い
良い声だから声優になれる、というのは勘違いです。
良い声よりも良い声の出し方を身につける方が良いでしょう。
例えば周りから良い声だ、とよく言われるとしても、声優になるには基礎的な練習や努力が必要だし
周りからしたら良い声でも、その声と似た声をした声優さんがすでにいたら、やっぱり戦略を変えなくてはいけないと思います。
大切なのは良い声であることではなくて、
その人でなくちゃいけない何かを持っているかどうか、というところでしょう。
特に最近は声優になりたい人がとても増えてきています。
たくさんのライバルがいる中で、自分が選ばれる要素があるか、選ばれ続ける何かがあるのか、ということを研究する方が大切でしょう。
自分の声の研究をしよう
よく良い声だと言われるから声優になりたいと思っているのなら
自分の声をよく研究してみることをおすすめします。
その人にはその人の声がとてもよく響く体の場所がありますし、
声の出し方もマニュアル化できるものではありませんので、その人が感覚で掴んでいく必要があります。
良い声を出そうとするのではなく、良い子の出し方をできるような努力をしてみましょう。
読んでくれてありがとうございました。
では。