先日同業関係者の方とお話しをしていた時に、声優は意外と、オーディション初心者だとか、学び始めたばかりの人の方が面白いよね、という話をしていました。
声優のオーディションにあまり慣れていない人は、ものすごく緊張してしまって自分の力を出し切ることができない、と悔しい思いをしたことがある人もいるかもしれません。
でも何回も声優オーディションや収録を経験しているとある程度慣れが出てきてしまうんです。
実は声優のオーディションって、オーディション初心者の方が面白い!というお話。
上手いから受かるわけじゃない
声優のオーディションはお芝居の上手い人が必ず受かるわけではありません。
上手い、というのは褒め言葉でもあるんですが、
実は「それっぽい」というニュアンスが含まれていて、あまりいい意味ではないこともあります。
特にアニメ声優の演技での「上手い」というのは、「どこかで聞いたことのある感じ」という風にも取れると思うんですね。
つまり「ツンデレ」と言ったらこんな感じ、みたいな固定概念的な芝居がもうすでに多くの人の中に出来上がってしまっていて、
「上手く」聞こえるツンデレのお芝居は「もうすでにどこかで聞いたことがある」ツンデレのお芝居なんじゃないかと思うんです。
それはもうきっと多くの人が知っているものであって、驚きや感動には結びつかない。
だからこそ、オーディションでは必ずしも「上手い」演技の声優さんが合格するわけではないんだと思います。
もちろんクライアントさん側の意向だとか、作風だとか、オーディション結果に影響してくるものはいろいろあるんですが。
初心者の方が突飛な演技ができる
オーディション初心者の人ってどんな風にやるのが正しいのか、ということが全然わからない状態の人ですよね。
そうすると、逆に「それっぽい」感じに出来上がってなくて、
なんだかすごい突飛な演技をする人がいるんです。
やっぱり突飛な演技って印象に残るし、印象に残る、ということはオーディションの時にクライアントさん側に覚えてもらえる演技、ということなんです。
だから、オーディション初心者の人は初心者であることを引け目に思わず、思い切り挑戦して見て欲しいな、と思います。
技術とかわからないことなんてデビューしてから仕事をしていくうちについてくると思うので。
声優による作品の差別化
今は声優としての演技が上手い人も増えてきて、なかなか声を聞いて「この声優さんだ!」とわかる作品って少なくなってきたと思うんですね。
もちろん声優さんがあまりにも増えた、ということもあります。
それによって声優という仕事はより狭き門になりました。
アニメはもちろん、吹き替え作品だってネットコンテンツで見られるものが多くなったので増えてきていますよね。
そうするとやっぱり制作サイドも作品と作品の差別化をどうやってするのか、ということをたくさん考えているんだと思います。
どうやったら今までにないコンテンツを作ることができるのか、ということです。
作品の差別化をすることで、話題性を呼ぶことができるし、一定の顧客の心を掴むことができますよね。
だからこそ、最近ではタレントさんの声優起用が増えた、というのもあるんだと思います。
声優のキャスティングってやっぱりとても大事じゃないですか。
最近アニメを見ている世代に「どんなきっかけでアニメ見るの?」と聞いたらやっぱり多くの子たちが「好きな声優さんが出てるから」と言うんです。
それくらい、作品の中で声優さんの負う責任って大きいんだなぁと感じます。
だから声優でもやっぱり他の作品との差別化を出そうとしてくる作品ってあるんですね。
そういう場合はオーディションにも気合入ってるなぁと感じることがたくさんあります。
声優によって差別化を図っているような作品はこの作品がデビュー作、という方がオーディションに合格することも多いです。
オーディション初心者こそ強い
ということで、声優業界に関しては実は「上手い」ことだけが正義ではない、というお話をしてみました。
オーディション初心者の人は、実はオーディションに強いんです。
こうしなきゃいけない、みたいな概念は時にこの業界では邪魔になります。
正解なんてない。
他の人と全く違うことをすることがむしろ正解だったりする。
なので今回は「声優のオーディションではこうするべきだ!」というお話はしませんでした。笑
オーディション初心者の人にはぜひオーディションを楽しむ、ということに徹して欲しいなと思います。
読んでくれてありがとうございました。
では。