ラジオで読ませていただく用の質問を募集するために質問箱を設置していますが
先日このような質問をいただきました。
声優のお芝居というのはやっぱり上手い下手というものがあると思いますが
声優のキャスティングは単純に芝居が上手いか下手かということで決められているわけでもありません。
キャスティング理由には色々ある
実は声優のキャスティングの理由というのはいろいろあります。
お芝居が上手い人だけで作品を作るということが目的なのではなくて
制作陣があくまで一番大切にしているのは「そのアニメが売れること」なので、演技の上手い下手がキャスティングに直結するか、というとそうでもないのです。
これはアニメがビジネスとして成り立つためにとても大切なことで
アニメがヒットしてDVDが売れないと、制作費を捻出することができませんから次の作品を作ることができなくなってしまいます。
アニメがビジネスとして続いていくためにも作品が売れるということはとても大切なことなのです。
そもそもアニメというのはテレビで無料で放送されるものですから放送では儲けられません。
基本的にはDVDやグッズなどの販売でお金を儲けています。
テレビをたくさんの人に見てもらったところで、それがそのままお金になるというわけではないですからね。
なので大切なのは多くのファンをつけることができる声優をキャスティングできるか、ということであって
演技の上手い声優をキャスティングする、ということが必ずしもイコールになるわけではないのです。
伸びしろがある、と思われた時
この人は伸びしろがあるなと思える声優さんもキャスティングされることもあります。
最初は演技が下手だったりぎこちなかったり感じるような演技だとしても
そこから成長していくことができる人というのは、スタッフも視聴者もその人の成長を見守ることができるので
最初から全てが上手い人よりも魅力的だったりすることがあるんですね。
完璧に全てをこなすことができる人よりも少し余白があると言うか、欠点があるほうが応援したくなる事ってあると思うんです。
だからこそみんなが応援してあげたいと思えるような人であること、ということも声優には求められているのではないかなと最近は感じています。
ナチュラルさを求められる時
作品によってはナチュラルさが求められる作品もあります。
これは声優さんよりも俳優、女優業といった顔出しの仕事を中心にやられている方のほうがキャスティングされることが多いですよね。
ジブリ作品とか、『君の名は。』の神木隆之介さんなどがわかりやすい例だと思います。
もちろんこれは演技が下手くそとかいうことではなく、声優の演技に比べるとよりナチュラルで、声に乗せる情報が少ないため
映像芝居っぽい演技になるということだと思います。
映像の演技と声優の演技というのはかなり違うものがあるので。
作品によってはやはりそういうナチュラルさが求められることもあるので
例えば声優がキャスティングされる場合でも、全くの新人の声優さんがキャスティングされるということがある、ということです。
役と役者は一期一会
他にも
- 他のキャストさんとの相性がいい
- 作品だけではなく付属物関連(イベント、歌、ダンスなど)で売り出していきたい
といったような理由からキャスティングされることもあるので
単純に演技が上手い下手でキャスティングが決まるというわけでもないのです。
だからこそ私たち役者は日々演技が上手くなる努力もしなくてはいけないと思うけれど
オーディションを受けてその役をもらえるのは必ずしも演技が上手い人というわけでもなく
役と役者はいつも一期一会なのだと思います。
求められている人に合致することができるかどうかということなのですから
オーディションをたくさんうけるけれどなかなか受けることができなくて落ち込んでいるという人もいるかもしれませんが
巡り合わせなのでその時に欲しいと思われている人と合致することができなかったということで
反省点があれば反省するべきですが次のオーディションに向けて気持ちを切り替えることも大切です。
自分に合致する役を頂いた時に、その子を全身全霊で演じられるように、
後悔なく自分の力を出し切れるように、日々精進することが大切だと思います。
読んでくれてありがとうございました。
では。