声優などのクリエイター系の仕事をしていると固定曜日に働いて、毎月固定のお給料をもらって、という世界ではないので、一般的な仕事のスタイルとは働き方が全く異なってきます。
そんな時にやっぱり敏感になるのがお金の話です。
どれくらいの値段でお仕事を依頼されてそのお仕事を受けるのかどうか。
特にクリエイティブ系なお仕事の場合、仕事の内容とその仕事で発生するお金についてかなりシビアに考えていかなくてはいけない、という話をしてみたいと思います。
安く仕事を受けるのは他人にも迷惑
日本の社会ではなんでも「より安く」、時には「無料で」仕上げることが良いとされています。
多少クオリティーが落ちても予算的に安く済むように制作されるものがたくさんあるんですね。
もちろん作る側だってそのコンテンツによって儲けて生活をしていかなくてはいけないので気持ちもわかります。
ただ、クリエイター業界には不当に安い金額での仕事が溢れています。特に最近はクラウドソーシング系の仕事が多くなってきて、あまりにも単価が安すぎるものを多く見かけます。
その原因としては
- 仕事のギャラの相場が不明瞭
- 仕事を安すぎるお金で受けるクリエイターがいる(やりたい人がいっぱいいる)
という2点が挙げられるのかなと思います。
クリエイター業界ではいろんなコンテンツがありますが、実は単価が高いものが多いです。
それはもちろん制作に技術と時間が必要だからです。
「その人じゃないとできないこと」を仕事としてお願いするわけですから、
その単価が高くなるのは当たり前のことですね。
ただ当人はどちらかというとマーケッターではなくクリエイターなので市場調査をあまりきちんとやらないことの方が多いんです。
よく見かける例なのですが、
本人は本当にものすごく素晴らしいものを作っているのに、それに見合うお金をもらっていない、ということがよくあります。
でもその人が安いお金でその仕事を受けてしまうと
他のクライアントが「あの人はこれくらいの値段でやってくれたのに…」という比較をし始めるんですね。
結果として、自分のコンテンツを安いお金で提供してしまう人が増えれば増えるほど、
全体市場でもコンテンツの単価が下がっていき、他のクリエイターが迷惑する、ということなのです。
あと、結局安い値段で引き受けると依頼人側もちゃんとしてないことが多く、お互いにリスペクトがなくて揉めやすいというのもあります。
私はあまり値下げはしない方向で価格交渉をしていますが、その分引き受けられない仕事もあって辛いこともあるけど、やっぱりそれでも依頼してくれるクライアントさんは本当にお仕事がしやすい方ばかりです。
自分の経済価値を考える
市場にいるクリエイターがみんなきちんと儲かるためには、一人一人が自分を安売りしない、という意識を持つことが大事だと思います。
市場をきちんと客観的に調査して、ではその市場のなかで自分はどれくらいの位置にいるのか、
そして同じくらいの位置にいる人がどれくらいのお金で仕事を受けているのか、ということを正確に判断することが大切だと思います。
また最近の声優は、声の仕事以外にも求められるものが多くなってきているし、実際に声の仕事以外で活躍できる人も増えています。
映像ができる人が音楽もできたり絵もかけたりすることが多い。
それなら、そういった付加価値の付け方もできます。
私も映像合わせで納品をしたり、簡単な映像編集を声の依頼と一緒にやったりもします。
そちらのジャンルの価格も調べてみて、単価を上げていくこともできると思います。
あとは自分のやりたいことだけで食べていくのが大変なら、
自分のある程度お金を稼ぎやすい市場でお金を稼いで、その合間で本当にやりたい仕事をする、という戦略もアリなのではないかなと思うのです。
その方が本業に役立つことも多いでしょうし、何よりバイトをするよりは絶対的にクリエイティブな仕事の方が稼げますからね。
バイトするより時間的にも精神的にも楽に本業に勤しめるのではないでしょうか。
好きな仕事をするために
好きな仕事をするためにはやっぱりお金が必要だと思います。
なぜなら仕事をするには先行投資が必要だからです。
クリエイティブ系のお仕事なら特にそうでしょう。
仕事をするために必要な投資ってあると思うんですよ。
声優だったら日本語発音アクセント新辞典や吸入器は大抵の声優さん宅にはありますし、宅録はマイクやインターフェースが必要になります。
音楽をやる方なら楽器とか機材とか、とんでもない値段するものもありますよね。
もちろん物理的にお金が必要なものもありますが、
他にも好きな人と仕事をするために必要なお金、というものも発生してくると思います。
例えば舞台の主催をやりたいと思ったら、出演してくれる演者さんには出演料としてギャラを払いたい。
でも出演料だけじゃ全然その期間の生活を賄えないことは自分が演者だからこそわかっていることです。
だから本当は出演してくれる演者さんには自分がもらったら妥当だなと思えるくらいのお金を渡して舞台に出演してほしいです。
一緒に音楽を作る時もそう。
お金を先に渡すことはできなくても、この仕事が売れたらその半分をあなたにあげます、という約束のもと一緒に音楽を作ったり。
だからやっぱり何もないところから人と一緒に仕事をする時はある程度のお金が必要になってくると思うんです。
もちろんお金以外でも信頼をえることができる関係を築ける人はいるでしょう。
でもお金が一番わかりやすいし、
私もお金を基準に仕事を考えるし、お金もらったら嬉しいから、自分がお仕事をお願いする立場になってもそうしたい、というだけの話です。
お金に貪欲であった方がいい
そんなこんなで、お金に貪欲なことはとてもいいことだと思っています。
適正金額で自分のコンテンツを販売することが他のクリエイターを守ることでもあります。
自分がどれくらいの経済価値があるのか、ということを客観的に見る目をもち、
仕事として成り立たせていくにはどうしたらいいのかという戦略を立てる。
それはクリエイティブな業界で好きなことをして生きていくためにとても大切なことだと思います。
最初は自分の適正価格というのはわからないかもしれません。そういう時は自分の作業量と時給で考えてみてもいいと思います。
アルバイト感覚で考えると最低でも時給1000円欲しいとして、何時間くらいかかる仕事なのか。それで計算してみて、ギャラはそれに対して見合ったものなのか?
そういうところから考えて、お金のことをもう少しだけ意識してお仕事してみるのをおすすめします。
いつかもしフリーランスでお仕事をする時があったら、そういうお金の意識が必ず必要になってきます。
読んでくれてありがとうございました!
ではっ