声優は実力勝負の世界!と言われることがあると思います。
運が必要だったり、人のご縁に助けられることもたくさんある業界ですが、やっぱり実力がある人は強いな、と感じることもやはりあります。
収録現場なんかでは特にこれを感じることがよくあります。
ということで今回は、声優の実力がどんな時に測られるのか、ということについて少しお話してみたいと思います。
リテイク直後
収録の時は必ず演技をするにあたって資料が渡されます。
アニメや吹き替えの場合はリハVといって、実際に収録現場で収録をする時に使われる映像とともに台本を渡されます。
大体収録の1週間前から前日までには遅くても配られるので、それをもとに練習をしてから収録に望みます。
そして一度、テストという形で自分の練習してきた演技プランをそのままやってみます。
そしてそこから音響監督から演出指示が入ります。
これがリテイクです。
内容としては演技的に「もうすこし優しいニュアンスで」みたいなことを言われたりもしますし
キャラがまだ定まっていなければ「こういうキャラなのでもう少しこんな感じでやってください」という指示もあるし
尺的に「ちょっとこぼれちゃった(尺に対してセリフが長くなってしまった)のでもう少し巻き(タイトに)でお願いします」みたいなことを言われることもあります。
そこで次のテイクにいくわけですが、
ここが声優としての実力の見せ所。
一度言われたディレクションを瞬時に理解してどれだけ自分が練習してきた演技プランを変化させることができるか。
これがかなりベテランの声優さんと新人で差が出るところだと思います。
ベテランさんはディレクションを理解するのも早いし、リテイクがきたら次のテイクで本当にガラリと演技を変えることができる人が多いんですね。
デビューして初めての現場がベテランさんの多い現場だったのですが、
私はこのリテイクの時のベテランさん方のお芝居に衝撃を受けました。
持ってきた演技プランを簡単に捨てることができる。
もっといえば芝居の引き出しがいくつもある。
それが実力なんだろうなぁと感じたんです。
演じられる役の幅
ネットを漁っていると「違うキャラクターなのに同じ声優だと知って驚いたやつ」みたいなまとめもよく出てきますが
本当にこれも実力だと思います。
少年少女から老人まで演じることができる役者さんもいらっしゃいますから
やっぱりこれって一朝一夕でできるようになることではないですしすごいですよね。
しかも声真似、というよりは「その年齢特有の喋り方」つまり芝居力で年齢感を出している人が多いんです。
むしろ声のトーンやしわがれ具合なんかで年齢を表現していたら喉を痛める原因にもなってしまいますからね。
いろんな役幅を演じることができると特に吹き替えの現場で重宝されることが多いです。
アニメに比べると吹き替えの現場の方が出てくるキャラクターの年齢の幅が広いことが多いので兼ね役を振りやすくなるからです。
アドリブの面白さ
実力のある声優さんほどアドリブが面白いなぁとよく感じます。
声優の仕事は生の仕事ではなく、収録ものが多いので、
実際の制作物を見てくれるお客さんの反応をリアルタイムで見られるものではありません。
しかし実力のある声優さんは収録現場ですでにエンターテイメントが始まっているんです。
他の役者さんやスタッフの方も笑顔にしようとする演技。
それこそ声優の実力なのではないかなと思います。
タイム感覚
ナレーションや次回予告なんかは尺があらかじめ決まっていて、
その尺に合わせて原稿や台本を読んでいかなくてはいけません。
次回予告は30秒がほとんどですが、一発目できっちり30秒におさまる方とかはやっぱりプロだなぁと思います。
読みながら大体これくらいの長さだろう、ということがわかる感覚はもう場数を踏んで身につけるしかないことだと思うので
実力のある声優さんほどぴったり合いやすいです。
ハイテンション芝居
ギャグ系の作品だったりするとありえないハイテンションなお芝居が求められることがあります。
これってリアルではありえないテンション感なので
実際に演じてみると息がもたなくてめまいがしたり、テンション感を維持できないことって結構あるんですね。
こういうところも声優の実力が測られる場面なんじゃないかなと思います。
ベテラン声優さんはテンションあげあげな役をずっとキープし続ける力があると思います。
今回は声優の実力が測られる場面についてお話してみました。
実際に現場に出てみるとびしびしと感じることです。
読んでくれてありがとうございました。
では。