声優という仕事で生計を立てていくのはとても難しいことです。
アニメ業界だけで見ると、声優の流行というのはめまぐるしいものがあって、
「最近よくメインの役で出演されているなー」と思うような声優さんでも、声優の仕事だけで食べていくのは大変な上に、
しばらく経つと名前を見かけなくなる、なんていうこともよくあります。
名前付きの役、つまりメインキャラクターを担当しているようなレギュラー番組をいくつか持っていたとしても安定した生活をするのは難しいものなんですね。
今回はレギュラー番組をいくつも持っていても声優が生活が安定しない理由について話してみたいと思います。
レギュラー番組のキープの取り方
レギュラー番組というのは最初からレギュラーとしてスケジュールのキープが来ます。
(キープというのは日程が近くならないと仕事になるかわからないけれど、一応スケジュールを押さえさせてください、というやつ)
基本的にアニメの場合は3ヶ月を1クールとして、クールのまとまりでスケジュールキープが来ますが、
昨今のアニメ業界ではアフレコのスケジュールに素材(アフレコ時に必要なVTRなど)が間に合わず、アフレコがお休みになることもあるので
3ヶ月1クールで完結予定のアニメでも4ヶ月とか5ヶ月という期間でキープが来ることもあります。
スケジュールキープは何月から何月の毎週何曜日何時からをキープ、というような形できます。
キープが入っているところはお仕事になるかもしれないところなので、プライベートなスケジュールはもちろん入れられませんし
他のお仕事の問い合わせがきても「すでに別件でキープになっているので別日にしていただくか、第二キープになります」と回答するしかありません。
しかし先述したようにアフレコが制作側の都合でお休みになることもあります。
結構あります。笑
そういう場合は、制作スタッフ側としては遅くともキープ日の3日前くらいには確定するらしいのですが、スタッフ側でお休みが決定しても
そこから制作会社を通して事務所、事務所から声優、という流れでスケジュールが降りてくるので、
前日や当日にバラシ(キープだった仕事が休みになること)連絡がくることもよくあることです。
で、そういう連絡の仕方だと、「仕事が入るかもしれないから開けといた一日」が急に暇になってしまうので
そこから急にアルバイトできるはずもなく、できることの限られる一日になってしまいます。
もちろんその日は仕事がバラシになっていますからギャラも発生しません。
これが新人のうちは結構つらい。
バラシがめちゃくちゃたくさんあるからです。
実は12話分キープをもらって1度も出番がない、なんて現場もあります。
結構しんどいですよね笑
新人のギャラ
新人のギャラは基本的には1本15,000円です。
どんなにセリフが多くても、逆に少なくても、声優は仕事は1本あたりいくらで数えるのが基本なので1本15,000円なんですね。
つまり週に3本レギュラーがあっても、月に稼げるギャラは18万円。
ただ、声優事務所に所属していると2割~5割ほど事務所にマージンをお支払いするのと、
源泉徴収などもあるので15,000円のお仕事も手取りで1万円以下になることがほとんどです。
つまりレギュラー番組が3本あっても月に12万円程度。
3本アニメのレギュラーに出るって相当難しいことです。
それでもそこまで稼げないし、なんならそれ以外に働かないとやっていけないのが声優の仕事なのです。
レギュラー番組は1クールで終わる
最近はアニメもほとんどが1クール(10話~12話)で完結するものなので、
レギュラー番組はたとえとれたとしても3ヶ月で終わってしまうものなんですね。
そして3ヶ月ごとにオーディションラッシュのようなものが来ます。
先輩の声優さんが「私たちは3ヶ月に1回就職活動しなきゃいけない」という話をされていたんですが、本当にその通りなんですね笑
明日仕事がなくなるかもしれないという危機感にいつも悩まされています。
月に3本のレギュラーを取るのも難しいのに、それも3ヶ月しか続かない。
しかもどのアニメもクールは同じですから、3本あったレギュラー番組も終了時期は同じで、仕事がばたばたばたっとなくなってしまうわけです。
この時期が一年に4回もあるわけですからかなり精神的にも大変です。
常に安定しない仕事
今回はレギュラー番組がたくさんあっても声優として食べていくのは大変、という話をしてみました。
声優になりたいと思っている人は、声優になってからのことも是非具体的に想像してみてください。
声優になるのも大変だけれど、声優になって、声優としての活動を続けていくことはもっと大変なことなのです。
読んでくれてありがとうございました。
では。