声優にとっての寿命はあるんですか?という質問をされることもあるのですが
基本的には声優というのは名乗ればなれるものであり資格が必要なものでもありません。
もちろん定年退職もありませんし、年をとることによって声が出なくなってしまうというわけでもないので
明確な寿命のようなものがあるものではありません。
しかし勝負どころはもちろんあります。
新人にとっての登竜門は「3年の壁」
私もデビューした時に散々マネージャーから言われたことなのですが、
新人声優にとっての登竜門は「3年の壁」です。
具体的になぜ3年なのかと言うと、声優は一般的に日本俳優連合というところに登録をして仕事をしています。
日本俳優連合というのは役者の権利を守るために作られたもので日俳連(にっぱいれん)と略して呼ばれていることが多いです。
不当な安いギャラで使われてしまわないように新人声優のギャラの料金は一本15000円というのを決めてくれたのがこの団体です。
そして3年が経ったらランクがついてランカーとなり、新人料金からギャラが上がるというシステムになっています。
しかし声優業界が供給過多になりすぎている今、ランカーになってギャラの値段が上がった途端に仕事の本数が減るという声優が増えてきてしまっているのが現状です。
ランカーになる前に猶予期間が出来たり、必ずしもに日配連に登録しなくてはいけないというわけではなく、
最近は声優業界全体が変わろうとしているところもあるので、これについては全員に当てはまるというわけではないのですが
最初の3年間でどれくらい自分を売り出して制作スタッフの方達に知ってもらうことができるかということが勝負になってくることが多いです。
新人料金の期間にはものすごく活躍していたのに
ランカーに上がってギャラが上がってから仕事がなくなってしまう、という人がたくさんいる、ということ。
しかもこういった制度を事務所からきちんと説明されていない、という人もいるので
事務所に所属した上で声優の仕事をしていくなら、どういう働き方になるのか、どこが勝負どころなのか、ということをしっかりと話し合うことができる事務所、
もしくはそういったマネージャーさんがいるところで働かないと、危険です。
ランク制度の例外
今は事務所自体がが日本俳優連合に登録していなかったり、
自分で登録するかどうかを選べるところもあるみたいです。
声優は声優事務所に所属していたとしても個人事業主扱いになります。
会社員ではなく、自分の権利を事務所に管理してもらう、というだけ。
確定申告も自分でしなくてはいけないし、どんなに良い事務所に所属したって
今後ずっとその事務所に所属し続けるかはわかりません。
だからこそ、しっかりランク制度についても調べたり、詳しい先輩に話を聞いたりした方がいいし、
事務所ともビジネスパートナーとして良い関係を築きあげることが大切です。
ビジネスパートナーとして良い関係を築くためには、契約書の中身に納得した上で契約を紙面上で交わしておくことが大事です。
その契約書も控えを自分できちんと保管しておくようにしましょう。
(事務所を移籍したいと思ってるんだけど、契約書の控えを失くしてしまった、という人も結構います。自分が不利になることがあるので気をつけた方がいいです…!)
幅広い仕事ができる人が強い
結局どれだけ声優の仕事を長くすることができるかというのはどれくらい幅広く仕事ができるかということが大きく影響してきます。
もちろんアニメ仕事をずっとやられている方もいらっしゃいますが
アニメの仕事以外にも吹き替えの仕事やナレーションの仕事ができた方が仕事の幅が広がります。
媒体によって芝居の種類も変わるのでなかなか難しいことだとは思いますが
自分の声優としての人生を長く続けるためにも「アニメの仕事で活躍したいからたくさんアニメを見る」だけじゃなくて
吹替の作品をたくさん見たりナレーションにどのような仕事があるのかということを探したりすることも大切だと思うんです。
最初はアニメ声優を目指す人が多いけど
これは新人としてデビューした時にマネージャーさんから教わったことですが
最初はアニメ声優を目指す人が多いけど、結局吹き替えやナレーションの仕事をできるようになった方が息の長い声優として活躍し続けることができる業界だと思います。
長く声優の仕事を続けていらっしゃる方ほど硬い原稿も読めるイメージがあります。
だからこそ常日頃から発声練習や滑舌の練習をすることが重要なのではないかなと思うんです。
声優に明確な寿命はありません。
自分がどのような仕事をできるようになるか、どれだけタフに続けることができるかということが肝なのだと思います。
読んでくれてありがとうございました。
では。