声優として活動をしていると、今は声優になりたいという人が本当に多くて「相談したい」と言ってきてくれる人がぼちぼちいます。
でもそういう人に共通しているのが「声優という仕事をキラキラしているものだと勘違いしすぎている」ということ。
もちろん声優の仕事は楽しいです。
仕事をやっていて良かったと思う瞬間もたくさんあるし、就職しなかったことを後悔したことなんてありません。
でもやっぱり声優を目指している人に相談をされるとその人たちが思い描いている世界は声優業界の現実と少しずれている。
それはきっと声優業界のキラキラしているところしか表立って外へ発信されないからなんだろうと思います。
だから今回は、声優になりたいという人が相談してきてくれた内容をもとに、
声優になりたいと思っている人が抱いている声優業界への憧れと声優業界の現実のギャップにとついてお話してみます。
表立って言えない仕事もある
実は声優には公表できない仕事が結構あります。
アニメやゲームの仕事が目立つことが多いので、
アニメファンの人とかはアニメやゲームに出演していないと
「最近誰々さん、あんまり声優の仕事してないなぁ」と感じる人も多いかもしれません。
それはちょっと失礼な話で、声優の仕事はアニメやゲームの仕事だけではありません。
むしろアニメやゲームの仕事の方が本数で言ったら少ないかもしれません。
ライバルも多いですしね。
声優の仕事にはいろいろな仕事があります。
その中でも企業ナレーションなどの仕事は
仕事の経歴として公表することを伏せて欲しい、と言われることもあります。
声優とナレーターの仕事も実は混同されがちですが、
同じ声の仕事でもナレーションの場合は情報を伝えることに重きが置かれます。
だから企業ナレーションなんかは声優の名前で売る気はないところが多くて
いかに商品や会社の内容を正確に、心地よい声で視聴者に伝えてくれるか、ということを大切にしているんです。
声優の名前が出てしまうとその人のイメージがついてしまうこともあるので、
ナレーションの声優さんの名前を公表しないで欲しい、という場合もあるんですね。
また、そういうことを言われない場合でも、
クライアント側がナレーターや声優の名前を公開しないままにコンテンツを公開している場合は、自分から仕事の公表をすることはできません。
声優業界は当たり前ですが守秘義務の厳しい仕事なので、クライアントにきちんと確認をとってオーケーをもらわない限りは自分の仕事を公表することはできないのです。
結局その確認がとれないまま、仕事はしたけれど経歴に載せられない仕事だったり、
公表することができないままの仕事、というのは結構あります。
どこかしらに名前が載っていたらいいんですが…それが確認できないうちは公表できないですね。
声優として受けた仕事全てが脚光を浴びるわけではない、ということ。
これがまず、声優を目指している人が思う声優業界と現実のギャップです。
極貧生活を経験している人が多い
声優になって売れたらいい生活ができるんだろう!と思っている声優志望の方が多いですが、
声優はデビューしてからもかなり大変です。
実際デビューしてから数年私はずっとバイトをしてました。
デビューだけでも大変だけれど、デビューしてからも大変だし、
デビューして数年したら確実に売れるというわけではない。
そもそも最初の3年間が勝負で、そこからランクがついてしまったらまた仕事が安定しなくなる。
今現役でたくさんお仕事をされている方でも、極貧生活を経験されていらっしゃる方がたくさんいます。
声優の学校に通うならそれはそれで学費も交通費もかかるし、
デビューしてからしばらくは声優のギャラなんかじゃ絶対に食べていけません。
もしかしたら売れないまま仕事がなくなってしまうかもしれない。
保証なんてどこにもない仕事なんです。
それが声優業界の現実です。
見られる自分と本当の自分のギャップ
声優として表に出る仕事が多くなってくると、
イベントやラジオというパーソナルな部分を公開していくことが求められる仕事も増えるでしょう。
イベントやラジオは台本が細かくあって、それを喋ればいい、というわけではないですからね。
そうすると少なからず自分がどう見られるのかどう見られたいのか、
そしてそれに対して本当の自分はどれなのか、と考えるようになると思います。
多くの人から見られる自分のイメージと本当の自分のイメージとのギャップに苦しむこともあると思います。
本当はそうじゃないんだ、と。
人から求められる自分にある程度寄せていかなくてはいけないようなところもあるでしょう。
声優になりたいという人は声優のイベントやラジオに出ている声優さんをキラキラしていると感じるかもしれませんが、
声優さんがみんな毎日キラキラして過ごしているわけではありません。
自分の見られ方を研究したり、たくさん悩んで戦っている時間がたくさんあってこその舞台なのです。
それが現実。
そして自分のパーソナルな部分を売れば売るほど、
プライベートには支障が出てきます。
セキュリティの低い家には住めないし
アイドル的な売り方をしていれば、外で異性とデート、なんていうのもなかなか難しいです。
現実を見ても好きでいられるか
声優の現実について少し触れてみました。
結局のところそんな現実を知った上でそれでもこの業界にいたいと思っている人が残っていくのが声優業界です。
どこまで好きか。
どこまで捧げられるか。
現実を知ってもそれでもやり続けたいと思えるかどうかだと思います。
読んでくれてありがとうございました。
では。