質問箱で以下のような質問をいただきました!
私は立教大学 現代心理学部 映像身体学科というところを卒業しています。
声優としてデビューしたのが高校2年生のときで、大学は声優業をやりながら通っていました。
質問者さんの言ってくださっているように、声優の仕事は選ばれないと仕事ができない仕事なので
とか思ってこの学科を志望しました笑
確か声優志望はどんな大学を選べばいい?という記事で詳しく書いたと思います。
この記事を読んでくださっている方は立教大学の映像身体学科を志望大学にしようか悩んでる人もいるかもしれないので、
質問者さんのしてくれた質問に答えつつ、大学でどんなことを学んだか、とかをちょっと話してみようかな〜と思います!
もくじ
立教大学 現代心理学部 映像身体学科、どんなところ?
一応くくりとしては心理学部なんですよね笑
文系ということになりますが、私は理系専攻だったので国数英で受験しました。名前がややこしいですが、要は心理学的に表現を学んでいこうよ、という学科で、かなり特殊な学科だと思います。
映像身体の「身体」は「身体表現」を指していて、ダンスや演劇をやっている人もいます。
正直、「学びたい」という気持ちが強くないと、なんとなく4年が終わってしまうような、結構ぼんやりした学科だと思います笑(大学はどこもそういうものだとも思いますが…!)
学科について詳しくはHPを見てみてください。
実際どんな授業を受けて、どんなことが役に立っているか、ということをメインに今日はお話したいと思います。
面白かった授業
映画を心理学的に紐解く授業(コンテンツの見方が変わった)
授業の名前は忘れちゃったんですけど、映画を見ながら心理学的に表現を学ぶという授業がありました。
一般的にわかりやすいところで言えば「吊り橋効果」とかね笑
困難や死にそうな経験を一緒に超えると愛が芽生える、というやつです。ありがち。王道。
これはかなり有名なものだとは思うけど、他にも「カメラワークがこういう動きをしてるから、見てる人はこういう気持ちになるよね」みたいな解説をしてくれて、
感覚的に見ていた映画を論理的に見られるようになりました。
エンタメコンテンツを見る時に画角やカット変わりなどを意識できるようになったことはとても良かったと思います。
これはアニメや吹き替え作品でも役立ちます。
アニメの場合はアフレコ時に絵が出来上がっていることは少ないですが、台本にはカットの説明やカメラの動きが書いてあるので、「どう見せたいのか」というのが想像しやすくなると思うんですよね。
→声優は演技力向上のために色々な作品に触れた方がいい!どういう視点で観ればいいのか
太極拳の授業(爆睡の模様)
これは単純に面白かった授業、っていうだけで何に活きているかはわからないんですけど、太極拳の授業がありました笑
音楽に合わせて踊ります(?)
身体の中の声を聞く、みたいな感じで、当時はホットヨガにも個人的に通ってたので、こういう静的な体の動きを知るのも楽しかったなぁ。
メンタルと身体ってすごいつながってるんだなぁと思いました。心を表現するのがお仕事なのだから、きっと何かの役に立ってるはず!はず!!!!
ちなみに「眠かったら、それが体の欲求ということだから寝てもいいんだよ」と先生がおっしゃっていて、ほぼ毎回爆睡してました(白目)
授業の最終回終わりで先生(中国の方)と飲みに行ったんだけど、エクストラコールド(ビール)頼んだら「冷たい飲み物は体に悪い!!!」ってすごい怒られました。この時人生で初めて温かいお酒を飲みました。ホットにザラメをプラスした紹興酒は美味しいです。(こうやって大人になっていくのね)
シナリオを書く(向いてない)
短編映画のシナリオを書く、という授業もありました。
普段はシナリオは書いてくれる人がいて、それを演じるのが仕事なので、書き手として物語をゼロから作っていくのはとても難しかったし、全然納得の行くものが作れなくて才能ねーなって思いました笑
でもこういう機会がないと、シナリオを書いて完成させる、ということにチャレンジすることはなかっただろうから良い経験になりました。全然面白いもの書けない。ぴえん。
面白い物を書いてくれる人と一緒に仕事をする必要がある、ということがわかりました笑
書いてくれる人がいるからこそ自分は表現ができるんだ、と一層身が引き締まりましたね。
ショートフィルムを制作する(編集たのちい!)
これも授業があったからこそ挑戦する機会が生まれたものですが、短編映画を作ろうという授業がありました。
シナリオは別の人が書いてくれて、自分は演者と編集を少しやりました。(映像身体学科は編集とか監督やりたい人が多くて意外と演者は少ない)
この時初めてMacでファイナルカット(編集ソフト)に触れました。
(大学の編集室にはデスクトップのMacがいっぱいあって、ファイナルカット触り放題だった。高い学費はそこに行っていたのだネ)
思ったより編集が楽しかった。編集室にこもってる時間が好きだった。演者もいいけど、制作スタッフとして入るのも楽しい。私裏方も好きなんじゃね?と感じた良い経験でした。
だからきっと今YouTubeとかも編集してるのが楽しいんだと思います。あの時の経験があったから動画も楽しくできてるし、興味がわく。
編集のことを考えながら撮影もできるから、演者としてどう動けばあとで編集しやすいかもわかる。今は編集ソフト、もちろんFinal Cut Proを使ってますよー!
これは結構大きかったなぁ。
2021/04/25追記:
質問箱の方でさらに下記のような質問をいただきました!
未来の後輩さま!!!!嬉しいな、こういう質問。
大体教授は「この課題で映像撮ります〜〜班作ってやってね〜〜〜」くらいの超ゆるゆるでぶん投げてくるので、学生側で全部決めて進めなきゃいかんのですよね。
誰が何やるっていうのも割とみんなで決めて分担。だからやりたいことは「私はこれがやりたい!」って言うようにしていました。
すでに仕事していたし、みんなそれを知ってくれていたので、「夢波は当然出演するよね?」みたいな流れになっていて出演することがやっぱり多かったけど。
せっかく制作サイドの方を学びにきたから、と思って編集やカメラも結構やらせてもらいました。
全然詳しくはなれなかったし、先生から教えてもらえるもんでもないので自分で勉強しなきゃなんだけど、映像系のサークルで真剣に頑張ってる子はいるので、そういう子に「どうやって使うの?」って聞きながらカメラまわしてたなぁ。立派な機材はそろってますよ。学費高いもん。笑
教授も映画監督だったり現役で活躍されていらっしゃる方も多いしね。授業で教授がお手本でカメラを回してくれるようなシーンがあり、それを見た時は「やっぱりすごいなぁ」と感動した覚えがあります。
まぁそんなこんなで出演する側になりたくないなら全然出演しない側でずっとすり抜けていくこともできると思います。
やりたいことをとにかくやりたいと主張すればおっけー!
身体系の授業も履修できるので、そこで知り合った友達に「コラボしよーよ」って言いまくったら絶対コラボしてくれる子います。とにかく大学は主体性が大事。
何かが起こることを待って受動的になっちゃうと空白の4年間になるので気をつけて。笑
大学で表現に色々な手法があることに気づけた
大学に入るまで私にとって表現は歌か芝居か、みたいな感じでした。
でも大学に入ってからはコンテンポラリーダンスをやってる人がいたり、友達がやってる日舞を観に行ったり、芝居にも声だけでなく映像や演劇や色々種類があったり、と本当に色々なやり方があるんだなぁと実体験をともなって学ぶことができました。
そういえば映画に関してもインド映画(3時間以上ずっと踊ってる、謎のタイミングで踊り歌いだす)見たり、チャップリン(セリフが入ってない無声映画)見たり、自分では見ないようなレトロなホラー映画を見たりしたなぁ。もちろん授業。笑
そういう色々な作品に触れることによって、自分にはまだまだ知らないものがたくさんあるし、興味を持ったものに安易に飛び込んでいきたいな、と思わされたんですよね。
ディレクターさんと話をしていた時に
「アニメ声優になりたいからってアニメばっかり見てちゃだめだよ」
と昔言われたことがありましたが、本当にそうだなって改めて思えた。
素晴らしいクリエイターは本当に色々なものに触れて自分の心を震わせて、それをアウトプットしているんだと思います。
作り手の気持ちを学びたくてこの学科を選んだけど、いかに自分が狭い視野でしか物事を見られていなかったかがわかったので、とても有意義でした。
まぁなんとなく大学通ってる風の子もいた(結構いた)ので、本当に頑張っててすごいもの作ってる友達を作るためには自分もそういう熱量を持って大学の授業に取り組まなくてはな、という感じですけどね。
ちなみにこんな偉そうに書いてるけど、仙人になるための中国史を学ぶ授業は毎回最前列で爆睡してました。教授とは仲が良かったですが「夢波さんの夢の字は眠くて見る夢なのねぇ」と言われてましたw
仙人になるための授業の内容は面白かったです。壺中之天(こちゅう の てん)と言って、壺の中に天地があって(異世界が広がっていて)そこに仙人がいる、みたいな話が印象的だったな。結構中国のお話ってファンタジーなんですよ。授業中に気を練る、とかを真面目にやったりして笑
爆睡しまくってたけど中身は面白かったんですよ本当に。もっと勉強したい。話それちゃった笑
作品を客観視する大切さを知った
質問者さんにTwitterの方でお返事した内容では書かせていただいたんですが、
声優としてデビューしたての頃は「良い演技をする!」「とにかく制作スタッフの方に覚えてもらう!」っていうことばかりを考えていました。
自分が自分が!っていう考えだったんですよね。
でも制作側のことを知ることによって、「作品全体としてのバランスはどうか?」ということを考えられるようになりました。
制作陣からしたら、モブ役の人が一人めちゃめちゃ目立つ芝居をしていても意味がないんですよ。モブはモブとしての役割があって、自然にそのシーンを作り上げるということも大事なんだな、と。
これもまだ自分の中で正解なのかわかってないし数年後にまた違う事言ってるかもしれないんですが笑
でも「自分個人」の目線でなく「客観的に作品を見る」という目線を持つことができたのは大きな進歩だったと思います。
そして何より色々な視点を私に見せてくれる友達ができたこと、これがとても幸せなことでした。YouTubeでやっているラジオの方では映像身体学科で知り合った映画監督の壷井濯さんが一緒にパーソナリティを務めて下さっています。毎回とても楽しいし新しい発見がある。
少し長くなっちゃいましたが、これが私が大学に行って実際に役立ったなと思ってることです。
これからの進路に悩んでいる方もいらっしゃるかもしれませんが、大学は義務教育ではないので自分が「学びたい」と思うことを追求することができる場です。
ぜひ興味がある方向に進んでくださいね!
読んでくれてありがとうございました!
ではっ