声優として活動しているといろんな事務所の声優さんと現場でご一緒することがあります。
また、フリーランスで活動するようになってからは声優事務所関係者の方とお話する機会も増えました。
いろんな声優事務所さんのお話を聞いていると
事務所ごとに全然特色が違って、ある意味怖いな、と思うことがあります。
声優事務所というのは所属してみないと内部のことはよくわからないもので、
自分に合っているかどうかも、入ってみないとわかりません。
最近は声優事務所を移籍したり退所したりする人が増えましたが、それでも移籍や退所ってエネルギーがいることで
何度も何度も簡単にできることではありませんし、できれば落ち着いて仕事に専念したいものです。
今回は声優事務所の特色がどれくらい事務所によって違うのか、ということについてお話してみたいと思います。
これから声優事務所に所属しようかなと考えている方や、現役で活躍されている方で今の活動形態に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。
声優事務所の仕組み
まず、声優事務所というのがどこで儲けているのか、というお話をしてみます。
声優事務所も会社ですからね。
きちんと儲けていかないと成り立ちません。
声優事務所は基本的には所属声優がしたお仕事のギャランティーからマージンをとることによって儲けを出しています。
所属声優は仕事のマネージメントをしてもらう代わりに、自分が働いて稼いだお給料のいくらかをマージンとして事務所に渡している、という構図です。
なので声優は事務所に所属していても個人事業主の扱いになるんですね。
声優のお給料は固定ではなく、完全に成果報酬制であるのも頷けるかと思います。
事務所によってこのマージンの割合は異なりますし、事務所の中でも所属と準所属、預かり所属などの階級があるので
その階級に応じてマージンを変えている事務所も多いです。
一般的なマージンの割合は7(声優):3(事務所)ですが、場合によっては6:4にしているところや5:5のところもあります。
マージンとともに源泉徴収も引かれるので、声優からしてみると結構手取りは悲しいことになります。笑
あとは、声優事務所に養成所がついていればそれも収入源になります。
所属声優、もしくは外部の音響監督さんなどに講師をお願いして生徒にレッスンをしてもらい、その授業料で儲けを出す、という方法です。
養成所生は「ここに通って売れっ子声優になるんだ!」と夢を見ている人が多いと思いますが、
その授業料もしっかり事務所の儲けになっていることを忘れない方がいいです。
それでもその事務所が自分にとって、声優になるために役立つ授業をしてくれるのか、しっかり考えましょう。
声優事務所がしていること
では声優側が高いマージンを払って、その対価としてやってくれていることはどういったことなのでしょうか?
- スケジュールの管理
- 所属声優の営業
- クライアントからの問い合わせの応対
- オーディションへの斡旋
- 仕事のマネージメント(現場同伴、台本ピックアップなど)
- 請求書の送付
まだまだ他にもありますが、大まかにはこんな感じです。
フリーランスになってよくわかることですが、これらは結構全部自分でやろうとするととても大変です。
ただ、こういったこと以外に一番大切な事務所の役割があります。
それは事務所という名前の会社が個人を守ってくれる、ということです。
例えばファンからのプレゼントの受付も自分の住所ではなく、事務所の住所を使うことができます。
何か仕事関係で郵便物を出す時も事務所の住所が使えますし、
危ない目にあった時は事務所が守ってくれます。
著作権や肖像権を扱う仕事でもあるので、そういった権利的な何かがあった時も個人としてではなく、事務所が戦ってくれます。
つまり声優事務所に所属する、ということは一種の保険でもあるのだと思うんです。
→事務所の所属声優になるメリットとデメリットを声優が解説してみる
声優事務所のいろんな特色
声優事務所の特色というのは事務所によって全然違います。
例えばとある事務所さんは「声優が食べていけること」をとても大切にされていて、
アニメや吹き替えなどの目立つ仕事以外の仕事でも、声の仕事をギャラが安いものでも積極的に所属声優に回していたり、
声優業とはジャンルの異なる仕事は事務所を通して行わなくていい、つまり、マージンをとらないで個人でやっていい、
という風なマネージメントの仕方をしている事務所さんもあります。
反対に名前が出る限りはどんな仕事でもマージンをとる、という事務所さんもあります。
こういった特色も、入ってみないとわからないものですが、
声優や業界関連のお仕事の方が身近にいればある程度話を聞くこともできます。
事務所の特色はそれぞれ大きく異なりますが、
何に重きをおくかであって、人によって「良い事務所」の基準は変わってくると思うので、まずは自分が大切にしたいことを決めて
その上で事務所を選んだ方がいいでしょう。
読んでくれてありがとうございました。
では。