ボイストレーニングで歌を習ったりしても、後回しにされやすいのが歌の抑揚のつけ方です。
これは人によって考え方が違いますし、正解不正解があるものでもないので、確かに教えにくいことでもあるのでしょう。
ただ、やっぱりこの歌に抑揚があるかどうかで歌のうまさって結構変わってくると思うんですね。
カラオケに行った時なんかに、「この人の歌には心が動かされるなぁ」と思う人がいると、
やっぱり歌の上手い下手にかかわらず、「この人のいろんな歌を聞いてみたい」と思うと思います。
私は歌の抑揚はとても大切にしています。
これがつくかつかないかで、やっぱり歌い手側も気持ち良さが違いますし
何より歌って誰かに届けるために歌うものだと思っているので。
今回は声優・アーティストとしても活動している私が、歌の抑揚のつけ方をどのようにやっているのか、ということについて少しお話してみたいと思います。
あくまで個人的なやり方なので、正解ではありません。
試してみようかな〜くらいの軽い気持ちで読んでみてください。
その歌の主人公を考える
私は歌の主人公をいつも考えています。
歌の中には一人称が出てくるものが多いと思います。
- 私
- 僕
- 俺
さらに二人称もよく出てきますよね。
- 君
- あなた
こういったものを拾って行って、この歌の主人公は誰なのか、そして誰に宛てた歌なのか、ということを解釈していきます。
もちろん自分のことに置き換えてしまってオッケーです。
例えば「私」「あなた」という言葉が登場するなら、それは自分が「誰か」に宛てた歌にすることができるでしょう。
その「誰か」も自分の身の回りの人で具体的に置き換えると歌にさらに抑揚がつくと思います。
こういう想像力は少し役者の役作りや演技の構築の仕方とも共通するものがあると思います。
その歌の色や景色を考える
これも私の個人的意見ですが、私は歌それぞれに景色が見えるような感覚があります。
例えば私のTWO BY TWOというデビューシングルでは私は黄色やオレンジ、ピンク色など明るい暖色系のイメージがあります。
叶えたい夢に手を伸ばす希望のようなイメージでしょうか。
歌詞を追って歌っているうちに流れてくる景色のようなものがあるんですね。
そういうものが具体的にイメージできるようになってくると、歌に抑揚もつきやすくなると思います。
訴えかけられる言葉を探す
歌詞の中には、相手に訴えかけやすい言葉が存在します。
例えば
- ほら
- ねぇ
などといった呼びかけの言葉。
それ以外にも疑問系のような言葉だったり
歌詞そのものがセリフのようになっているところ。
そういったところを、聞いている人に投げかけるように歌ってみると突然歌に抑揚が出たように感じます。
単語に印をつけていく
歌の抑揚があまりつけられない人にありがちなのが、言葉を音として捉えていて、
1音1音をしっかり丁寧に、音をきちんととってリズムもしっかり歌わなくちゃ、と意気込んでいるパターンです。
でも本当は歌詞には単語がたくさんつまっていて
1音1音、というよりも言葉を大切にして歌ってあげたほうが、気持ちは伝わりやすくなるんですね。
なので、歌の1音を1音として捉えるのではなく、単語単語をきちんと伝えられるように、として意識したほうが良いと思います。
なので、歌詞の中にある単語に印をつけていき、その言葉が言葉として伝れるように歌うと、
より歌に抑揚がついたように聞こえるでしょう。
→声優アーティストが解説、歌が上手くなるにはどうしたらいいのか
一番伝えたい箇所を探す
歌の中で、一番歌詞に共感できる部分、だったり、好きな箇所というものがきっとあると思います。
そういうところはやっぱり抑揚もつけやすいところなので
自分がどこで一番感情移入しやすいか、というのをぜひ探してみてください。
歌そのものは4、5分のものが多いですが、それって実は真剣に聞いてると長いですよね。
そんな中で本当に伝えたいメッセージは一行でもいいと思うんです。
それがしっかり伝われば、その歌は抑揚のある歌になると思います。
歌の構成を考える
曲によって全然違うと思いますが歌は1番2番、Cメロがあって最後のサビがあって1曲完成、というパターンが多いと思います。
そういった歌の構成を意識しながら歌うのもまた、その歌の抑揚としては大切なことでしょう。
1番よりは2番が盛り上がるだろうし、
やっぱりそれより最後のサビが一番盛り上がる。
そういった歌の中の強弱を意識しつつ歌うことができれば、かなりドラマティックな歌を完成させることができると思います。
今回ご紹介した内容はあくまで私の個人的な意見です。
全てが正しい、というわけではないので、ぜひ試してみようかな、くらいのゆるい気持ちで受け止めていただけたら幸いです。
読んでくれてありがとうございました。
では。