こんな質問がありました。
今回は泣く演技についてちょっと掘り下げてみたいと思います。
大体泣いてない
泣く演技についてですが、大体の場合はアフレコスタジオで泣く演技があっても、
本当に泣いている声優さんはいません。
なのに泣く演技が上手いってすごいですよね。
本当に泣いていないのに泣いている音が出るってすごいことです。
これはなぜかというと、台詞が聞こえなくなってしまっては困るから。
私も以前、気持ちがたかぶりすぎてしまって、泣く演技でボロッボロに泣いてしまったことがあるのですが
その時はもう台詞が流れてしまって、はっきりとした発音をすることができませんでした。
先輩には「役者は心は泣いても本当に泣いたらダメだよ」って教えてもらいました。
台詞がガタガタになってしまって何を言っているかわからなくなってしまっては意味がないので
泣く演技をしながらも、「台詞はしっかり聞こえるように」と、冷静なもう一人の自分もいます。
とはいえ感情が表に出てこないと演技はできないので、
それがコントロール仕切れずに泣いてしまうことはたまにあると思いますけどね。
それがOKテイクになるかは微妙なラインです笑
アフレコスタジオは結構ドライな空気感
泣く演技が必要だったり、シリアスな現場はどんな感じなのか?というと
一度台本を離れると結構みなさんドライというか、いつも通りに過ごしている人の方が多いです笑
オンオフがしっかりしている方が多い印象ですね。
むしろ本番の時に泣く演技を見ている周りの声優さんが涙を流している、ということはありますが笑
キャストはみんな同じブースで録音しているので、泣く演技をやっている声優さんがとても良いお芝居をしていて
それを後ろで聞いてて一緒に泣いてしまって、そこでもし音を立ててしまってそれがマイクに入ってしまうと
せっかく良い演技をされていてもマイクにノイズが乗ってしまってNGになることがあります。
なのでブースの中で録音している時はなるべく音を立てないようにしなくてはいけません。
そう思うと泣く演技を聞いている方も大変かもしれません笑
意外とテンション高い演技の方がやりやすい
いただいた質問では「泣く演技・叫ぶ演技で苦労したことはありますか?」と書かれていますが
実はこういったテンション感の高い演技というのは得意とする人の方が多いと思います。
なぜなら、大きな感情というのは表しやすいから。
感情解放、と言って「恥ずかしがらずに自分の中の大きな感情を表現してみる」、みたいなレッスンを取り入れているところも多いですが
大きな感情を表現するのは演技を学び始めた人が初期段階でチャレンジすることです。
逆に小さく、細かい表現の方が難しかったりするんじゃないかな、と思うんですよね。
例えば、泣き叫んでたら悲しい、っていうの結構わかりやすいけど
笑ってるのに実は寂しい感情、とかそういう複雑な感情って結構あるじゃないですか。
そういう細かい感情の方が、表現としては難しかったりするんじゃないかなーと思います。
もちろん何が得意で何が不得意か、というのは人それぞれ違うし、感じ方もみんな違うので一概には言えないのですが。
ただ、大きい感情を表現する時は、発声などの基礎の部分がしっかりできていないと難しいと感じるかもしれません。
泣き叫ぶ演技も、NGになってしまえばテイクを重ねなきゃいけなくなります。
基礎ができていなくて、喉を痛めてしまうような発声をしてしまっていると、テイクを重ねた時に声が出なくなってしまったりしますからね。
そして忙しい声優さんは1日に何現場も掛け持ちしてお仕事をされています。
舞台に出演されている声優さんは毎日泣く演技や叫ぶ演技をやっているのに、本番の前に朝、別の現場でまた叫ぶ演技をやってきた、なんて方もいます。
そういうのもこなしていかなきゃいけない、と思うと
やっぱり喉を強くするための基礎をしっかり身につけることは大切だな、と思いますね。
読んでくれてありがとうございました。
では。