声優の仕事をしているとものすごく緊張することがたくさんあります。
「緊張してないように見えるよ」と言われることも多々ありますが、実はものすごく緊張しています。
堂々とお芝居をしている人だって舞台に立っている人だって「緊張しない」なんてことはあんまりないと思うんですね。
以前こんな質問をいただきました。
これはきっと多くの人が抱える悩みだと思います。
声優になりたい、という人は人前で緊張してしまう自分を克服したいという人もたくさんいるでしょう。
では声優が普段人前で仕事をするのに緊張をどうやって克服しているのか。
今日はそんなことを話してみたいと思います。
人前で何かやる機会を増やす
緊張を克服するのに大切なことは緊張する場面をたくさん経験することだと思っています。
緊張したくない、という気持ちから、緊張する場面に出くわさないように慎重に生きている人がいますが、
やっぱりたくさん緊張する場面を経験している人に比べるとそういう人は緊張に弱いように感じます。
とはいえ、毎度緊張する場面が同じシチュエーションなわけではないでしょうから
たくさん緊張する経験をしたからと言って緊張に慣れる、というわけではないと思います。
それでも緊張している時に頭の片隅で冷静でいられる自分の領域を増やすことはできると思うんですね。
日常的に緊張する経験をたくさんしていく、というのは難しいかもしれませんが、
自分で企画をすれば多くの人の前で話すことや芝居が好きな人は舞台などに出演すれば人前で何かをする、というシチュエーションはいくらでも作っていくことができるでしょう。
緊張する自分を克服したい、と思っている人は、常日頃から緊張するシチュエーションに飛び込む癖をつけてみたらいいんじゃないかなと思います。
声優なら自分が勉強している教材の音読を人に聞いてもらう、くらいのことでも全然いいと思うんですよ。
練習する
私もやっぱり人前で何かパフォーマンスをする、ということは未だにものすごく緊張します。
本当に心臓が飛び出そうなくらい、吐きそうなくらい緊張することってたくさんあります。
そして本番までの数日間も緊張するものですよね。
でも緊張して何も手につかない、では良いパフォーマンスをすることはできません。
結局何が目的なのか、というと
「いいものを見せる」ということが目的、
もっと言えば「そのパフォーマンスを誰かに楽しんでほしい」というものが根底にあるんだと思います。
だったら緊張していても何も生まれないですから、自分が「もうこれ以上練習できない」と思えるレベルで練習するしかありません。
限界まで練習することができればもし本番で失敗したとしても「あれだけ練習してこの結果ならしょうがない」と思えるはずなんですね。
そこで練習を怠ってしまったら「練習不足だった」と、それは自分を責めなくてはいけなくなります。
そうならないために、全ての時間を練習に注ぐ、くらいの気持ちで練習することが人前で緊張しないために必要なことなんじゃないかなと思います。
シミュレーションする
緊張を克服するために何度も何度も脳内シミュレーションをすることはとても大切なことです。
これって実は緊張を克服するためにもいいことなんですが、
実はシミュレーションが詳細にできるようになってくると忘れ物がなくなります。
舞台なんかは特に小道具や衣装も自分で管理しなくてはいけないことが多く、
本番になってそれを忘れてしまって、ただでさえ緊張しているのにもうパニック!みたいなことになってしまう人がいるんですが、
シミュレーションを細かくすることができる人は忘れ物があまりありません。
自分がやることに対してシミュレーションをすると「これをやるのに何を使う」というのがきちんと把握できるようになるんですね。
そうすることによって必要なものがわかり、それを忘れなくなるんです。
何度もシミュレーションすることによって想定外の事態にも対応できるようになり、
芝居で言うとアドリブ力がついてくると思います。
声優の仕事に限らず、これはどの仕事にも言えることだと思います。
自分にも余裕が出てくるようになると思うので、緊張するイベントや、ちゃんとやりたい、と思っていることはたくさんシミュレーションすることをおすすめします。
緊張するからいいものができる
何年も仕事を続けているとだんだんとわかってくることで、
緊張って誰もが克服したい、と思っていることだと思いますが、実はとても大切なことなんだと思います。
うまくできなかった時「緊張しすぎて」という風に言う人がいますが、
緊張しない方がいいのか、というと、こと声優業界に関してはそんなことはありません。
声優は瞬発力をとても求められます。
人とのやりとりを演じる、というのは人の言葉に敏感に反応して演技をする、ということなので、神経が研ぎ澄まされていないといいものはできません。
キャリアのある先輩は舞台本番直前に「なんだか緊張しない」と焦っている人なんかもいます。
緊張しない、ということは心身が緩んでしまっている、ということ。
つまりそういう時にいいものって実は作りづらかったりするんですね。
緊張して張り詰めているからこそ瞬発力もあがるしアイデアがどんどん出てくる場合だってあります。
だから緊張って実は克服しすぎない方がいいんですよ笑
緊張に弱い、克服したい、と思っている人はぜひ参考にしてみてください。
読んでくれてありがとうございました。
では。