最近の声優市場ではやっぱりアニメ声優さんの方がスポットが当たりがちですが、声優の仕事って実はいろいろなものがあります。
今声優になりたい、と言っている人たちが声優を目指すようになったきっかけを聞かれると結構アニメのことを話す人が多いですよね。
声優の声を使った仕事にはアニメの仕事はもちろんですがそれ以外にも
- 洋画・海外ドラマの吹き替え
- テレビナレーション
- CMナレーション
- ラジオ
などなどたくさんの仕事があります。
実はこういったメディアのお仕事だけでなく、
- 留守番電話サービスのアナウンス
- ETCのアナウンス
- 炊飯器の「ご飯が炊けました」
- お店での販促アナウンス
- 商店街のアナウンス
などといった、普段はあまり注目されにくいお仕事もまた、声優のお仕事です。
実は私たちの生活は声に溢れているんです。
アニメ声優のお仕事がどうしても注目されがちなので、今回は吹き替えのお仕事についても。
アニメと比べて吹き替えはここが違う!みたいなところを中心に少しお話してみたいと思います。
画が完成してる
アニメの声優の仕事では画が完成していないことがしばしばあり、
口パクもまだ完成していないことが多いので、ボールドという「今このキャラがしゃべってますよー」という意味の吹き出しみたいな合図に合わせて声を当てます。
ですが、吹き替えの場合は
オリジナルの映画に声を上からあてていくので、当たり前ですがもうすでに画が完成しています。
洋画だったり海外ドラマだったりは、すでに海外で作られた映像があるので、その映像を見ながらアフレコをしていくんですね。
アニメの声優の仕事の場合は声優の演技が先行して、それにあとから画が足されることが多いですが
吹き替えの仕事の場合はあくまで海外の役者さんたちが演技しているのに対して声を当てることになるので基本的に海外の役者さんの演技が先行します。
この順番が違うことは結構芝居に大きな影響を与えると思います。
アニメが何もないところからキャラクターを考えて構築していくのに対して
吹き替えの場合は俳優さんの息遣いに合わせるような芝居の作り方になるんじゃないかな、と私は思っています。
原音がある
アニメの収録は基本的に音はついていません。
VTRは無音なので、声を当てる時もセリフ以外のところでは音が出ないように気を遣っています。
- 音が出るような服を着ない(シャカシャカするやつとか)
- 音が出るような靴を履かない(ファスナーがカチカチいったりするやつとか)
- アクセサリー類は収録前にとっておく
みたいなことが原則です。
もちろんこの原則は吹き替えの仕事でも同じなのですが、
吹き替えの場合は原音、といって作品の音があります。
なので声優さんは一人一つヘッドフォン(スタジオによってはイヤホン)をつけて、原音をそれぞれ聞きながら声を当てていきます。
でも他の声優さんの演技が聞こえないと困るのでこのヘッドフォンは片耳のみのヘッドフォンになっています。
お好みで自前のヘッドフォンやイヤホンを使っている方もいます。
耳で音を聞きながら声を当てる、という作業になるのでここもずいぶんアニメの仕事とは異なるところです。
芝居が違う
芝居の構築方法がやっぱり画が先か後かで違う、というお話を先ほどしましたが、
それ以外にも芝居の違いはたくさんあります。
例えば、アニメの場合は「アニメ的な表現」みたいなものがあるんですね。
アニメだと走り出したり、椅子から立ち上がったりするところでアドリブと言って息のような声が入ってたりすることがたくさんあると思うんです。
でもそれをリアルで現実的に考えてみると、「絶対にそんな動作で声は出ないでしょう」というようなやつがあるんですね。
吹き替えの場合は演じている役者さんがそもそも生身の人間なので、リアルによせて作られている作品がほとんどでしょう。
なのでいわゆる現実的に考えた時の「不自然な声」はアニメに比べると少ないと思います。
もちろん吹き替えには吹き替え独特の「リアルにはない」表現みたいなものも存在するように思いますが。
吹き替えのお仕事
アニメのお仕事と吹き替えのお仕事を並行してやってみるとその仕事内容の違いにびっくりします。
本当に「アニメ的な表現」「吹き替え的な表現」みたいなのがはっきり色があって、全然違うなぁと実感するんです。
吹き替えの作品を見る時はぜひそういったことに注目して見てみてください。
新しい発見があると思います。
読んでくれてありがとうございました。
では。