声優の生活ってどんな感じなのか?
声優になりたいという人も多いと思うので、ちょっとお話ししてみたいと思います。
声優として生活できるまで
声優として、そのお仕事だけで食べていけるようになるまでには相当の努力と運が必要です。
どんなに頑張って毎日努力していようともそれが必ず報われる世界ではありません。
いろんな声優さんとお知り合いになって「なんでこの人が売れないんだろう?」と思う人はいっぱいいます。
- 演技がうまい
- 容姿がいい
- 歌が歌える
- 踊れる
みたいな、声優として求められる条件もたくさんありますけど
じゃぁそれらが揃っていたら売れるのか、というとそうでもないんです。
声優になりたい人はたくさんいるけど声優を目指してる人は30〜50万人、
声優をやっている人は1万人、声優だけで食べていけてる人は300人、なんて話もあります。
演技がうまい人なんてたくさんいます。
滑舌がいい人もたくさんいます。
歌って踊れる人もたくさんいます。
声優としてそのギャラだけで生活できるようになるまでは基本的にバイトばかりの生活でしょう。
生きていくのにはお金がかかりますからね。
私はデビューが高校生だったので、学生生活とバイトと声優のお仕事の3重生活でした。
そもそも声優を目指す段階なら、専門学校や養成所に通いながらバイト生活の日々です。
さらに専門学校や養成所を卒業したらどこかの事務所に所属になる人が多いですが、
事務所に所属しても必ずしもお仕事がもらえるわけではありません。
せっかく事務所に所属しても、事務所にオーディションや仕事をまわしてもらえるような立ち位置にいないと
1年間まるまる仕事がないままスケジュールNGを出せずにただバイトをし続ける毎日、なんてこともざらにあります。
結果的にはたからみたらそれはフリーターになってしまいますよね。
そんな自分に悩んで苦しみながらの生活です。
仕事がいつなくなるかわからない毎日
アニメ声優のことをメインに考えると、最近はだいたいのアニメが3ヶ月で完結するようになってきました。
すると3ヶ月過ごす度に「仕事が無くなるかもしれない危機」を経験しなくてはいけないわけです。
新人のうちはオーディションをいっぱい受けてそれに合格できたら
そのアニメで起用してもらえるのでオーディションを受ける機会がものすごく多いんですね。
ベテランの声優さんになってくるとクライアントさんからの指名でお仕事をいただけるようにもなりますが。
今自分が抱えてる仕事にプラスして、次のクール(3ヶ月を1クールと呼びます)の仕事のことを考えなくてはいけないんです。
神経が図太すぎるくらい図太くないとやっていけません。
「明日から仕事がないかもしれない」という世界です。
これはきっと会社に勤めの方にはわからない感覚だと思います。
もちろんどちらがいい、という話ではありません。
スケジュールでいうと、
先月は仕事が15本あったのに、今月は仕事が1本もなかった、もありえます。
声優になりたい人はよく「アニメに出たい」と言いますが、声優の仕事は他にもたくさんあります。
- 洋画の吹き替え
- ゲーム
- イベント
- ラジオ
- テレビナレーション
- パチンコ
- CMナレーション
ここらへんはまだ認知されている仕事かと思いますが他にも
- 商店街に流れる音声のナレーション
- ドラッグストアなどのお店で流れるナレーション
- 競馬やボートレースの実況
- カーナビ音声
など、声を使った仕事はたくさんあるのです。
世に名前が出ない仕事はいっぱいあります。
声優で仕事をしていきたいと本気で思うなら、こういったことも視野に入れていくべきだと思うのです。
そして自分にできることを増やしていかないと仕事は限られていきます。
自分から「こんなこともできます」というアピールをしていくことも大事です。
いつ仕事がなくなるかわからないという恐怖感から睡眠障害になったり、
ストレス性の病気になってしまう声優さんもたくさんいらっしゃいます。
でもだからこそ、できることを増やしていく、
さらには仕事を受け続けるだけでなく、自分が仕事を生み出していく、ということが大切なんじゃないかと思います。
出会いと別れの毎日
でも声優の生活はもちろん悪いことだけではありません。
特に面白くて幸せだなと感じているのは出会いと別れが多いという点です。
3ヶ月(1クール)ごとにお仕事現場が変わることが多いので、
多分一般的な会社員の方に比べるととても出会いが多いのが声優の生活の特徴の一つだと思っています。
しかも出会う人は必ず、一緒に作品を作り上げていく人な訳です。
現場によって程度はあれど、仲良しの現場は毎週飲みに行ったりだとか、
舞台もそうですが、座組みは一緒に作品を作っている間、家族のような感覚になります。
舞台なんかは本番1ヶ月前から稽古にはいる、などといった強行スケジュールの時もありますから、
本当に短い時間でグッと距離を縮めていく作業になるんです。
人によって芝居の作り方はさまざまで、「その人と仲良くならなくても役があれば芝居ができる」という方ももちろんいらっしゃいますが、
私の場合はその人の性格や生き方を知っていた方がより楽しい芝居の掛け合いができると思っているので
なるべく芝居で掛け合いのある人とは仲良くなりたいと思っています。
緊張はしますけど、なるべく相手と仲良くなりたいと思って、飲み会のときは近くに座ったり、積極的に芝居の話をしたり。
でもそれは本当に楽しい作業です。
心が通じたと思って芝居ができた時は本当に気持ちがよくて幸福感に満たされているのです。
そしてその座組みでのお仕事や舞台が終わると、それぞれがそれぞれの生活、新しい仕事現場へと散っていきます。
寂しい気持ちはいつもあるけど、それはそれでまた新しい出会いに向かっていく道です。
こんなに新しい出会いを経験しながらできる仕事もそうないんじゃないかなと思っています。
声優の生活はキラキラしてない
大変なことも確かにありますが、それだけに幸せを感じる瞬間も多いのが声優の生活です。
華やかな面だけ取り上げられやすい世界なので、両側面を理解していただけるように書いてみました。
尊敬してやまない大塚明夫さんの本をご紹介します。
大塚明夫さんの言葉の重み、すごいです。
特に声優になりたいと思っている方には絶対に読んでほしい本。
実際の声優の生活はきっと声優に憧れる人が思っている何倍も質素なものです。
不安だらけ。
それでもやっぱり声の仕事が好き、という人だけがずっと残っている世界。
本当に好きだと思えるかどうか、が一番大切なんだと思います。
読んでくれてありがとうございました!
ではっ