声優業界に興味がある方は「音響監督」という言葉をよく聞くかと思います。
今回は声優目線で、この音響監督のお仕事や、声優と音響監督の距離感について
少しお話してみたいと思います。
音響監督とは
音響監督とは音声収録の現場において、ディレクターを務める人のことを言います。
収録スタジオは声優キャストたちがいる録音ブース(金魚鉢と呼ばれることもありますが実際の現場ではあまりこの呼び方は聞きません)と
ミキサー卓があり、実際に録音した音を編集することができ、スタッフさんがいっぱいいるミキサー室とに分かれています。
声優は基本的に録音ブースで仕事をします。
音響監督さんはミキサー室にいて、ミキサー室にいるスタッフさんのいろいろな意見を聞いてそれをまとめ、
最終的に録音ブースに繋がっているマイクで指示を出す役割を担っています。
そのため、声優はスタッフさんの中では音響監督さんとやりとりをすることが一番多いのではないかなと思います。
音響監督のディレクションとは
声優が収録をする時は
- テスト
- 本番
の2回演技をすることがほとんどです。
アニメの場合は前半をテストしてから本編、後半をテストしてから本編、という流れが一般的です。
第1話の収録の時は声優のキャラ作りがまだ定まっていないのでテストをしてもう一回テストをしてから本番、ということもありますし
逆にシリーズ終盤の収録や歴史のある作品の収録の場合はテス本(テスト本番)と言って
テストを兼ねた本番、つまり一発録りをやる場合もあります。
とはいえ一発録りも完璧にできるわけではないですし、キャラ同士のセリフがかぶっている場合は後で編集しやすくするために別録りといって本線とは別で録音することになるので
本線の後にも録音は続くのですが。
そしてこの時テストの後に音響監督からディレクションが出ます。
何カットのこの部分のセリフはもう少しこういう風に言ってみて、みたいなこと。
音響監督さんによってこのディレクションのやり方はボリュームは様々です。
さらにリテイクというものもあり、音響監督さんからOKが出るまで録り直す、ということもあります。
そんなに多くないことですが、現場によってはなかなかOKが出なくて何十回とリテイクになることもあります。
声優は基本的には先輩後輩関係なく同じ時間にスタジオ入りして一緒に芝居をして収録を行うので
リテイクがいっぱい重なってしまっている時も同じブース内で先輩が待っています。
それは本当に冷や汗もので
リテイクになってしまっているから芝居も変えなくてはいけないのに、大先輩もいっぱい待たせてしまうというとても辛い時間が流れます。笑
音響監督さんによってリテイクの伝え方や癖も異なるので、
やっぱりわかりやすい指示とそうでない指示もあり、音響監督さんの合う合わないは声優にもあります。
ただ音響監督さんの一存で声優を選ぶことはできませんし
声優だって現場によって音響監督さんが違うのが当たり前ですから、
お互いに歩み寄って仕事をしていくべきなんですね。
音響監督さん、というと怖い人が多そうですが、
むしろスタッフさんの意図を汲んで声優に伝える、ということを仕事として毎日のようにされている方々なので
柔らかい方や気さくな方が多いように私は思っています。
実は声優出身の方やもともとプレイヤー側だった、という方も音響監督さんの中には多いです。
音響監督と声優の距離
音響監督さんはスタッフさんの中でも声優と直接やりとりすることが多い役職なので
スタッフさんの中では声優も親しくなりやすいと思います。
演技の悩みを聞いてもらったり、逆に声優ではわからない制作のお話を聞くことができたりするので、
音響監督さんとお話するのはとても楽しいです。
音響監督さんによって演出の好みなんかもあるので、
作品オーディションの時に音響監督さんがどなたなのか、ということを確認してる声優さんもよくいらっしゃいます。
傾向と対策ですね笑
今回は音響監督と声優の距離感についてお話してみました。
読んでくれてありがとうございました。
では。